タペストリー(読み)たぺすとりー(その他表記)tapestry

翻訳|tapestry

デジタル大辞泉 「タペストリー」の意味・読み・例文・類語

タペストリー(tapestry)

麻・ウール・絹などを用いて、絵や模様を織り出したつづれ織り。また、それを用いた壁かけ。タピストリータピスリー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「タペストリー」の意味・読み・例文・類語

タペストリー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] tapestry )[ 異表記 ] タピストリー 羊毛や絹、麻などを材料として、絵模様を織り出した綴織(つづれおり)。また、その壁掛け。タピスリ。
    1. [初出の実例]「其真中の六畳許りの場所は冴(さ)えぬ色のタペストリで蔽(おほ)はれて居る」(出典:倫敦塔(1905)〈夏目漱石〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タペストリー」の意味・わかりやすい解説

タペストリー
たぺすとりー
tapestry

日本の綴織(つづれおり)、綴錦(つづれにしき)に相当する織物であるが、英語でタペストリー、フランス語でタピスリーとよぶものは、壁掛け・絨毯(じゅうたん)などの室内装飾品、あるいは染織美術品として取り扱われるものをさすことが多い。これは、東洋と西洋における綴織の用途の差異に起因している。この組織は平織の変化組織であって、経(たて)糸を強く張ったところへ、絵緯(えぬき)糸を文様の色に従って縫い綴(つづ)るように織り込んでいくもので、簡単な手芸的操作によることから、古くから各地で生産されていた。エジプトコプト織ペルーのプレ・インカ織などはよく知られており、フランスのゴブラン織、京都西陣(にしじん)の綴錦などは伝統的織物として世界的に名声を博している。これが大きく絹と羊毛の綴織として西洋と東洋に分かれて織り続けられている。しかし、構成糸の扱い方が違っており、西洋では経糸は麻、緯(よこ)糸は羊毛、東洋では経緯糸とも絹を用いることが多い。

 現在の用途は、壁掛け、衝立(ついたて)、緞帳(どんちょう)、室内装飾品などである。フランスのジャン・リュルサはタペストリー工芸家として知られ、ほかに有名作家の下絵に基づくものも発表されている。また、運搬が容易であるところから、ピカソの『ゲルニカ』のような大画面の絵画の複製にも利用されている。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タペストリー」の意味・わかりやすい解説

タペストリー
tapestry

室内装飾用の綴織 (つづれおり) などの織物。フランス語ではタピスリー tapisserie。特に壁掛けや椅子の背当てなどに用いる。平織の文様織で,多彩な染色の緯 (よこ) 糸を経 (たて) 糸に加え,自由で絵画的な模様を織出すのが特色。最古の作例は前 15世紀頃のエジプトにすでにみられ,のち東方のビザンチン,ササン朝ペルシアにおいて華麗な作品が多数製作された。これらの技法は 12世紀頃ヨーロッパに伝えられ,聖堂の装飾に取入れられた。 14~15世紀にフランス,フランドルを中心に発展。フランスでは 1662年王立ゴブラン工場が設立され,タペストリーの黄金時代を現出した。 19世紀以後はふるわなかったが,1932年マダム・キュトリがその復興を呼びかけ,ピカソやルオーなどもデザインを試み,現代における新たな発展を示した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「タペストリー」の意味・わかりやすい解説

タペストリー

タピスリー

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

リフォーム用語集 「タペストリー」の解説

タペストリー

表面に出ている横糸によってカラフルな模様や絵柄を創り出す、壁掛けなどに使われる室内装飾用の織物の事。

出典 リフォーム ホームプロリフォーム用語集について 情報

世界大百科事典(旧版)内のタペストリーの言及

【タピスリー】より

…英語でタペストリーtapestryとも呼ばれる織物。織機に張った経糸(たていと)にボビン(木針)で緯糸(ぬきいと)を通して図柄を織り出す技法は日本の綴織(つづれおり)に相当する。…

※「タペストリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android