床屋(読み)トコヤ

百科事典マイペディアの解説

床屋【とこや】

理髪店とも。1871年〈断髪脱刀勝手令〉が出て,丁髷(ちょんまげ)から散切頭へ移るとともに,従来の髪結(かみゆい)も西洋風の散髪,西洋床に変わった。用具も,従来の和剃刀(かみそり)からレーザー(西洋剃刀)やバリカン,鋏(はさみ)となり,大正期には電気バリカンも出現した。西洋では中世には理髪師は外科医を兼ね,瀉血(しゃけつ)や抜歯などを行った。当時大学で修業した高級外科医は青と白に縁どった棒に赤旗と薬壺をつけて看板にしたが,理髪外科医は青と白の棒だけだった。1540年にはイギリスで理髪外科医の組合で国家から承認されている。今日床屋の看板となっている赤・白または赤・白・青に塗り分けた棒は,瀉血のときの血に染まった握り棒と包帯を模したもの。当時はまだ動脈・静脈という概念はなく,赤が動脈,青が静脈,白が包帯を表すという説は当たらない。→理容師

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世界大百科事典 第2版の解説

とこや【床屋】

主として頭髪を刈ったり結うなどして整えたり,ひげをあたったりすることを生業とする職種およびその店,またそれに従事する人を指す語。前者は理髪店(所),理容店(所),散髪屋などと,後者は理髪師,理容師などとも称される。英語ではbarber(barber’s) shop,barberで,語源は〈ひげ〉を意味するラテン語barba。古くから世界の各地に存在し,その職掌は現在のものより広かったことが多い。
[日本]
 〈床屋〉の語は江戸時代に生まれたことばで,髪結の店,つまり,髪結床(かみゆいどこ)の俗称であった。

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大辞林 第三版の解説

とこや【床屋】

〔江戸時代、男の髪を結う髪結いが床店とこみせで仕事をしていたことから〕 髪結い床。
理髪店・理容店の俗称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

床屋
とこや

髪結床(かみゆいどこ)の略称。室町時代から男子の調髪、髭(ひげ)、月代(さかやき)を剃(そ)った職業。現在は理容室、調髪所ともいう。元来、男の髪は総髪で、高貴の間では冠下髻(かんむりしたのもとどり)とし、庶民は簡単な束ね髪であった。武家社会となって、互いに勢力を競って戦いを挑み、その戦乱が長く続くと、武士は髪の蒸れるのを防ぐために月代をあけるようになり、その月代が大きくなるにつれて、職業としての床屋の需要が生じた。それまでは毛抜きを用いて抜いたので、血だらけになったことが南蛮人の記録にある。床屋としての最古の絵画は上杉(うえすぎ)本『洛中(らくちゅう)洛外図屏風(びょうぶ)』にみられるので、永禄(えいろく)~天正(てんしょう)(1558~92)のころには職業として成立していたといえる。当初の床屋の仕事は、月代の毛を抜くことにあった。それが髪を結うようになったのは天正年間も終わりごろからであり、当初は一銭剃(ぞり)、一銭職ともいわれた。江戸時代に入って江戸の町ごとに株仲間ができるようになり、滑稽本(こっけいぼん)『浮世床』にみられるように繁盛していき、文明開化とともに洋風の床屋に変わっていった。[遠藤 武]

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精選版 日本国語大辞典の解説

とこ‐や【床屋】

〘名〙
① (江戸時代、男の髪を結う髪結職が床店(とこみせ)で仕事をしていたところから) 髪結床(かみゆいどこ)
※俳諧・河鵆(1817)冬「はふり子は床や也けり里神楽〈求古〉」
② 理髪店。また、理髪師。
※文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉初「何某は狐に誑(ば)かされたさうなと、風呂屋でもいひ床屋(トコヤ)でもいふ」
③ (「床」は「鉄床(かなとこ)」の略) 鉄敷(かなしき)屋。
※梅津政景日記‐慶長一七年(1612)三月二二日「今日も床屋より火事出候間、床屋を皆々ぬらせ候へと申付候」

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世界大百科事典内の床屋の言及

【髪結】より

…髪を結うことを職業とする者。なまって〈かみい〉ともいい,その店をかみいどこ,かみどこ,とこやなどとも呼ぶ。日本では古来髪は自分で結うか,家人が手伝って結髪した。しかし宮中や貴族,武家階級などでは,衣装の着付や結髪,化粧をする役目の者が置かれていた。平安・鎌倉時代までは,男は一般に烏帽子(えぼし)をかぶる風があり,結髪はしごく簡単であった。室町時代の応仁の乱は風俗,慣習にも大きく影響し,かぶりものを脱した露頭(ろとう)や月代(さかやき)が行われるようになった。…

【看板】より

…業種の看板はローマ時代から中世,現代へとひきつづき行われているが,とくに居酒屋のブッシュはよく知られている。中世の風俗画によると,床屋(腕木に盆をかけて突出した形),居酒屋(ブッシュのほか,ジョッキと大皿)などが多い。看板は,初めは業種のシンボルが多かったが,居酒屋では,領主の紋章とか,白鳥・ライオン・雄鹿などを店のシンボルとして看板に描くことが多くなった。…

【辻】より

…木戸門脇には髪結床があり,また塵芥箱が置かれていた。なお,床屋は町用人として町内の雑用を果たした。辻斬が横行した江戸では,辻行灯,辻番所が設置され,辻番人(町方では自身番)が警備にあたった。…

※「床屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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