日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーグレ」の意味・わかりやすい解説
ブーグレ
ぶーぐれ
Célestin Bouglé
(1870―1940)
フランスの社会学者。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)卒業後、哲学アグレジェ(教授資格者)となり、モンペリエ大学などを経て、1908年にパリ大学教授となる。のちに高等師範学校校長となり、社会資料センターを主宰してG・フリードマンやR・アロンらを育てた。社会学者としてはデュルケームとともに『社会学年報』を創刊(1897)し、デュルケーム学派に属する。しかし、ジンメルの影響を受けて心理学的社会学を主張し、デュルケームと一線を画した。
博士論文を刊行した『平等思想・社会学的研究』(1899)で西欧的平等思想成立の社会的要因を分析し、『カースト制度試論』(1908)で西欧的な平等思想の反対証明をする。思想的にはリベラリストで、急進社会党に属し、プルードンの全集を編集し、協同組合運動にも関心を示して、社会的理念をもって個人主義をただすという考え方をとって啓蒙(けいもう)的思想家としても名をあげた。
[田原音和]
『ブーグレ著、牧野巽・本田喜代治訳『社会学入門』(1929・刀江書院)』▽『ブーグレ著、平山高次訳『社会学的に見た価値の進化』(創元社・創元文庫)』▽『田原音和著『歴史のなかの社会学』(1983・木鐸社)』