プトレマイオスの世界図(読み)プトレマイオスのせかいず

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プトレマイオスの世界図」の意味・わかりやすい解説

プトレマイオスの世界図
プトレマイオスのせかいず

英語ではトレミーの世界図 Ptolemy's world mapという。 K.プトレマイオスの『地理学便覧』の写本 (15世紀頃) の第8巻に付してあった世界全図。原本は現存せず,彼自身が原図を作成したかどうかは不明。当時知られていた世界を表わしたもので,地球全表面の約4分の1を表わしてある。この本に述べてある2種の擬円錐図法のそれぞれで作図されたものがある。南北は今日の南緯 15°付近から北緯 60°付近までを含む。緯度夏至の日の日照時間で示してあり,赤道は 12時となる。東西は,今日のカナリア諸島の付近を本初子午線とし,東向きに中国の西安 (当時の首都) の少し東を 180°としてある。これは実際の位置よりも 50°も東へ寄って表わされたことになる。彼は地球の大きさをポシドニオスの説によって 18万スタジア (約3万 3300km) としたので,実際より6分の1短いことになる。しかし,この世界図は,大航海時代まで最も権威あるものと考えられ,コロンブスマゼランがアジアへは西回りのほうが近いと信じ,その探検を行う動機を与えた。

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