改訂新版 世界大百科事典 「プラセーナジット」の意味・わかりやすい解説
プラセーナジット
Prasenajit
古代インド,コーサラ国の王。前6~前5世紀ころの人。生没年不詳。パーリ語でパセーナディPasenadi,漢訳仏典では波斯匿(はしのく)とする。都のシュラーバスティー(舎衛城)にあって隣国カーシーも領有し,ガンガー(ガンジス)川中流域の北岸に君臨した。妹がマガダ国のビンビサーラ王の妃であったため,両国は友好関係にあったが,ビンビサーラの死後,その子アジャータシャトルと長期にわたって争った。仏教の保護者としても知られ,都に滞在中の釈迦をしばしば訪れている。釈迦を敬愛するあまりシャーキャ(釈迦)族の女性を妃に迎えようとしたが,誇り高いシャーキャ族は一族の男と奴隷女との間に生まれた娘を送ったという。この娘から生まれた王子ビドゥーダバは,のちにシャーキャ族を滅ぼしている。晩年,この王子と将軍に背かれ,国を追われてマガダ国の都ラージャグリハの城外で客死したという。
執筆者:山崎 元一
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