改訂新版 世界大百科事典 「プレスナー」の意味・わかりやすい解説
プレスナー
Hermut Plessner
生没年:1892-1985
ドイツの哲学者。ウィスバーデン生れ。医学,動物学,哲学を学び,1916年エルランゲン大学で哲学博士号を取得。ケルン大学でM.シェーラーやドリーシュとともに研究に励み(1920-33),ナチスの政権奪取によりオランダに亡命,42年までフローニンゲン大学で教鞭をとった。第2次大戦後はフローニンゲン大学哲学教授,ゲッティンゲン大学社会学教授などを歴任。ユクスキュルの環境世界論,ディルタイの生の哲学,フッサールの現象学に触発され,人間認識の試みが多様に展開された1920年代に,《感覚の統一》(1923),《有機的なものの諸段階と人間》(1928)を著し,シェーラーと並んで哲学的人間学を基礎づけた。プレスナーによれば,動物は環境に拘束され中心的に生きるのに対し,人間のありようは脱中心的であり,世界開放性をもつ。彼はこうした世界における人間の位置づけを基礎に人間諸科学を内的に関連づけて,人間存在の根本構造を本質領域から経験領域にわたって解明した。また社会学的にも重要な成果としてロール・プレイングの分析がある。
執筆者:木田 元
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報