ユクスキュル(読み)ゆくすきゅる(英語表記)Jakob Johann von Uexküll

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユクスキュル」の意味・わかりやすい解説

ユクスキュル
ゆくすきゅる
Jakob Johann von Uexküll
(1864―1944)

ドイツの理論生物学者。ドルパット大学で動物学を学び、ハイデルベルク大学のキューネWilhelm Friedrich Kühne(1837―1900)のもと比較生理学を研究したのち、1926年にハンブルク大学の環境世界研究所に名誉教授として迎えられるまで、大学とは関係のない自由な研究生活を送り、人間中心主義を排して動物の行動を客観的に観察・記述する新しい生物行動学への道を開いた。主体としての動物と、それが知覚し作用する環境との関係を「機能環」として表現し、それらがさらに広い自然全体のなかでその動物の種特有の環境世界Umweltをつくることを説いた彼の環境世界論は、自然の「計画性」を前提としている点で、現代のシステム分析の先駆的構想といわれる。

[室伏靖子]

『J・J・ユクスキュル、G・クリサート著、日高敏隆他訳『生物から見た世界』(1973・思索社/岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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