シェーラー(読み)しぇーらー(英語表記)Wilhelm Scherer

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェーラー」の意味・わかりやすい解説

シェーラー
Scheler, Max

[生]1874.8.22. ミュンヘン
[没]1928.5.19. フランクフルトアムマイン
ドイツ哲学者,社会哲学者。ハイデルベルクベルリン,イェナの各大学に学んだ。イェナではオイケンの指導を受け,ミュンヘンでは F.ブレンターノフッサール門下の学者らと会い,現象学の影響を強く受けた。 1910年講壇を去り,17年ジュネーブ,18年ハーグでドイツ外務省の仕事にたずさわった。 19年ケルン大学哲学・社会学教授,28年フランクフルト大学教授となったが,同年,没した。現象学的方法を哲学,倫理学,社会学,心理学,宗教学の諸分野に適用し,大きな影響を与えた。倫理学的には,カント倫理学の形式主義に対して,価値の程度差を認める実質的価値倫理学を主張し,N.ハルトマンに受継がれた。社会学的には,マルクス主義の方法と術語を巧みに換骨奪胎しながら,カトリックの立場から観念論的ないし人間学的に上部構造と下部構造との相互関係を考察した。主著『倫理学における形式主義と実質的価値倫理学』 Der Formalismus in der Ethik und die materiale Wertethik (1913~16) ,『人間における永遠なもの』 Vom Ewigen im Menschen (21) ,『宇宙における人間の位置』 Die Stellung des Menschen in Kosmos (28) ,『哲学的世界観』 Philosophische Weltanschauung (29) 。

シェーラー
Scherer, Wilhelm

[生]1841.4.26. シェーンボルン
[没]1886.8.6. ベルリン
ドイツの言語学者,文学史家。ウィーンストラスブール,ベルリンの各大学教授。言語や文芸研究実証主義的方法を確立しようとし,大きな影響を与えた。『ドイツ語史の試み』 Zur Geschichte der deutschen Sprache (1868) などの著書がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェーラー」の意味・わかりやすい解説

シェーラー(Wilhelm Scherer)
しぇーらー
Wilhelm Scherer
(1841―1886)

ドイツの文学史家。オーストリアのシェーンボルンに生まれる。シェーラー学派を形成。精神史的文学研究に対して科学的実証主義を主張した。詩人と詩作品の理解は、体験、習得、遺伝したものの研究によるとする。主著『ゲーテの死までのドイツ文学史』(1880~83)。最近の研究は彼を単なる実証主義者と考えない傾向にある。

[佐々木直之輔]

『吹田順助監修『ドイツ文学史』全4巻(1949・創元社)』


シェーラー(Max Scheler)
しぇーらー

シェラー


シェーラー(Paul Scherrer)
しぇーらー

シェラー

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