プロジェリア症候群(読み)ぷろじぇりあしょうこうぐん(その他表記)Progeria Syndrome

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロジェリア症候群」の意味・わかりやすい解説

プロジェリア症候群
ぷろじぇりあしょうこうぐん
Progeria Syndrome

新生児期から幼年期発症し、全身の老化が異常に進行する早老症の一つ。発症の割合は新生児で400万人に1人、幼児期で約900万人に1人というきわめてまれな病気だが、発症すると通常の10倍程度の速さで老化が起こり、おもに動脈硬化による心機能障害や脳血管障害により平均13歳で死亡する。1886年にハッチンソンJonathan Hutchinson(1828―1913)が症例報告し、97年にはギルフォードHastings Gilford(1861―1941)がプロジェリア症候群と命名したが、これはギリシア語のProgeria(老年)に由来する。現在までの症例は146例、生存している患者は約30名で、いまだ治療法がみつかっていない難病である。

 2003年になって、病因はヒト1番染色体上にあるラミンAという遺伝子の突然変異により核膜が異常をきたすことによると判明したが、なぜそれが起きるか原因は明らかになっていない。この原因を追究し、治療法を確立することは、老化のメカニズム解明にもつながるとされ、多くの学者の研究対象となっている。

[編集部]

『ロリー・ヘギ著『みじかい命を抱きしめて』(2004・フジテレビ出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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