化学辞典 第2版 「ヘキサクロロ白金酸」の解説
ヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸(塩)
ヘキサクロロハッキンサンエン
hexachloroplatinic(Ⅳ) acid(hexachloroplatinate(Ⅳ))
酸:H2[PtCl6](409.81).普通は褐色の固体の六水和物(517.91).塩化白金酸ともいう.白金を熱王水に溶かし,濃塩酸を加え,濃縮すると固体が得られる.六水和物は,60 ℃ で融解し,100 ℃ で分解がはじまりHClを失う.360 ℃ でPtCl2になる.密度2.431 g cm-3.吸湿性で水に易溶.白金製品(たとえば,白金めっき,写真の調色,白金鏡や白金海綿,SO3製造用の触媒など)の製造や,ほかの白金化合物製造の出発物質になる.[CAS 16941-12-1:酸][CAS 18497-13-7:六水和物]
塩:たとえばアルカリ金属塩MⅠ2[PtCl6](MⅠ = Li,Na,K,Rb,Cs,NH4など)は,H2PtCl6の水溶液に過剰の塩化アルカリを加え,濃縮すると得られる.また,MⅡ[PtCl6](MⅡ = Mg,Ca,Sr,Ba,Znなど)も得られている.これらのうち,Li,Na,Mg,アルカリ土類金属などの塩は,水に可溶であるが,K,Rb,Csなどの塩は難溶である.これらはいずれも黄色~黄橙色の結晶で,独立した正八面体型の [PtCl6]2- を含む.
「白金及びその水溶性塩」として労働安全衛生法の「名称等を通知すべき危険物及び有害物」である.[CAS 16923-58-3:Na塩][CAS 16921-30-5:K塩][CAS 16919-58-7:NH4塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報