化学辞典 第2版 「ヘムタンパク質」の解説
ヘムタンパク質
ヘムタンパクシツ
heme protein
ヘムを補欠分子族とするタンパク質の総称.動物,植物,およびほとんどすべての微生物に存在し,呼吸と密接な関係を有する.機能には,
(1)酸素分子の運搬(ヘモグロビン,ミオグロビン),
(2)酸素分子の活性化と電子伝達(シトクロム),
(3)過酸化水素の処理(カタラーゼ,ペルオキシダーゼ),
などがある.ヘム単独でもわずかながら上記の機能を有するが,アポタンパク質と結合することにより機能は分化し,高い触媒能を獲得する.たとえば,過酸化水素分解において Fe3+ を触媒とするときの速度を1とすると,ヘミンで 103,ヘミンがタンパク質と結合したカタラーゼでは 1010 である.また,ヘモグロビンのタンパク質部分を軽度に変性させると,酸素分子と可逆的に結合するという機能が消失し,ペルオキシダーゼ活性を示すようになる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報