生体物質についてのレオロジーをバイオレオロジーbiorheologyといい,その対象は血液,血管,骨格筋,平滑筋,骨,軟骨,関節,子宮頸管粘液,喀痰,眼球,細胞分裂,原形質流動など多方面にわたる。なかでも研究が最も盛んに行われているのは血液,血管に関するレオロジーで,これをとくにヘモレオロジーという。血液は塩類とタンパク質を含む血漿に,変形性に富む血球成分が高濃度に懸濁している液体で,特異な流動的性質を示し,血管壁の粘弾性特性,心臓の拍出特性と相まって血圧,血流量などに大きな影響を及ぼす。また血球と血管内皮の相互作用,たとえば血栓形成は動脈硬化の発生,進展に関連が深い。糖尿病の際の微小血管障害の要因の一つに血液のレオロジー的性質の異常があげられている。
執筆者:東 健彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報