原形質流動(読み)げんけいしつりゅうどう(英語表記)protoplasmic streaming

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原形質流動
げんけいしつりゅうどう
protoplasmic streaming

原形質運動の一つ。細胞の内部で原形質が流れるように動く現象をいう。ムラサキツユクサの若いおしべの毛の細胞,カナダモの葉の細胞,シャジクモの節間細胞などは実験的に原形質流動を見る好材料である。速度は毎秒数μm~数十μmであるが,変形菌類の変形体では,毎秒 1mm以上の速度も知られている。流動は絶えず循環するもの,一定時間一方向に動いてから逆方向に動く往復運動などがあり,機構としては筋収縮のときと似たアクチン・ミオシン系が働いているとの見方がある。

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百科事典マイペディアの解説

原形質流動【げんけいしつりゅうどう】

細胞運動の一種。典型的な例は液胞のよく発達した植物細胞でみられる。細胞膜で囲まれた植物細胞のように,細胞の外形が変化せず,内部だけが流動するものと,変形菌類の変形体のように,流動によって外形が変化するものとある。流速は高等植物の細胞では毎秒数μm〜数十μm,変形体では毎秒1mmぐらい。→アメーバ運動
→関連項目原形質シャジクモ

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世界大百科事典 第2版の解説

げんけいしつりゅうどう【原形質流動 protoplasmic streaming】

植物のシャジクモの節間細胞やフラスモの仮根細胞の中では,原形質が細胞の中心部を大きく占める液胞の回りを薄い層をなして常に流動している。このような現象を原形質流動とよんでいるが,狭義には細胞の外形が変わらない場合に限ってこの語を用いる。細胞の形を変化させて進むアメーバにも,やはり原形質流動がみられるが,アメーバ運動の場合には流動する原形質ゾルが先端部域でゲルに転換するという現象を伴うので一般にはこれに含めない。

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大辞林 第三版の解説

げんけいしつりゅうどう【原形質流動】

細胞の外形が変わらずに細胞質が流れるように運動する現象。シャジクモの節間細胞、ムラサキツユクサのおしべの毛などの植物細胞でよく観察される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

原形質流動
げんけいしつりゅうどう

細胞運動の一種で、細胞内の原形質が流れるように運動する現象をいう。植物細胞、とくに車軸藻類などでよく観察されるが、動物細胞を含めてほとんどの細胞でおこり、細胞の外形の変形を伴う場合もあって、アメーバ運動などの場合にはその運動機構に大きな役割をもつ。流動の形式には回転流動、循環流動、乱流動、往復流動など多くの種類がある。流動速度は普通の植物細胞では1秒間に数マイクロメートル~数十マイクロメートルの程度であるが、粘菌のように秒速1ミリメートルを超えるものもある。原形質流動の原動力については昔からいろいろの説が出されてきたが、最近ではゾル‐ゲル界面に発生する滑り力によるとする説が有力である。この説は、細胞周辺部のゲルや、内部にある網目状のゲルの表面にはアクチンのフィラメントが配列されており、この表面をゾル中のミオシン繊維が滑ることによってゾルの流動がおこるとするものである。この機構は横紋筋がアクチン・ミオシン繊維の間の滑りによって収縮することとよく似ており、筋収縮と原形質流動・アメーバ運動は同じ種類の細胞運動である可能性が強い。[大岡 宏]

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精選版 日本国語大辞典の解説

げんけいしつ‐りゅうどう ‥リウドウ【原形質流動】

〘名〙 生体の細胞において細胞質が流動する運動。液胞の発達した植物細胞に多くみられ、ムラサキツユクサの雄しべの毛の細胞やシャジクモの節間細胞などに顕著に観察される。原形質の収縮性が原動力となって生じると想定される。広義にはアミーバ状運動を含む。

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世界大百科事典内の原形質流動の言及

【アメーバ】より

…肉質虫綱アメーバ目Amoebidaに属する原生動物の総称。淡水,海水,湿土中,コケ類の上,または動物の消化管に寄生するなど地球上に広く分布する。 体は1個の細胞からなり,外側はプラスマレンマplasma lemmaという薄い膜で包まれる。体の原形質は等質で透明な外質と,顆粒(かりゆう)が多く流動性のある内質とに区別される。内質には核,収縮胞,食胞,ミトコンドリアなどを含む。仮足(かそく)をだして運動するが,その際は体の後方の外質のゲルがゾル化して内質流となり,体の前方に向かって流動し,先端部のプラスマレンマが前方に膨らむ。…

※「原形質流動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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