ヘースティングズの戦(読み)ヘースティングズのたたかい

改訂新版 世界大百科事典 「ヘースティングズの戦」の意味・わかりやすい解説

ヘースティングズの戦 (ヘースティングズのたたかい)

エドワード懺悔王の死後イングランド王位をめぐって争ったノルマンディー公ギヨーム(のちのウィリアム1世)とイングランドのウェセックス伯ハロルドとの間の決戦。1066年9月末,ギヨームノルマン騎士を率いてイングランド南岸に上陸,ヘースティングズHastingsに橋頭堡を築いた。当時ハロルドはヨーク付近でノルウェー王ハーラル苛烈王の軍を撃破していたが,急を聞いて急ぎ南下,ヘースティングズ北郊センラックの丘(現在のバトル)で対戦した。決戦は同年10月14日丸1日の戦闘で決したが,これはノルマン騎士軍とアングロ・サクソン歩兵軍の激突で,結局ハロルドが戦死し,ノルマン軍が勝利した。ギヨームはこの戦勝ののち,イングランド南東部を制圧,同年末にウェストミンスターでイングランド王ウィリアム1世として戴冠し,ノルマン朝を開いた。
ノルマン・コンクエスト
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百科事典マイペディア 「ヘースティングズの戦」の意味・わかりやすい解説

ヘースティングズの戦【ヘースティングズのたたかい】

1066年イングランドのエドワード懺悔(ざんげ)王の死を機会に,ノルマンディー公ギヨーム(のちのウィリアム1世)が王位を要求して侵入,競争者ウェセックス伯ハロルドを敗死させた戦い。ヘースティングズHastingsはイングランド南岸の港市。→ノルマン・コンクエスト

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世界大百科事典(旧版)内のヘースティングズの戦の言及

【戦争】より

…ドイツ王オットー1世がマジャール人の侵入を迎え撃ったレヒフェルトの戦(955)では,東方遊牧民騎馬隊に対抗できるだけの騎兵をすでに西欧側は備えていた。ノルマン・コンクエストに際しヘースティングズの戦(1066)で,ノルマン騎士軍がそれまで伝統的歩兵戦を固守していたアングロ・サクソン軍を蹂躙(じゆうりん)し,中世的戦法を確立する。騎士だけが完全戦闘員とみなされ,彼らが封建制度の約定に従って知行地の代償として一定期間主君のために出役し,こうして典型的な封建軍が編成された。…

【蹄鉄】より

…先にあぶみの採用によって初めて騎手が馬上に固定され,長槍を構える突撃衝突戦が可能になったのだが,蹄鉄の普及によって騎兵の安定した用兵が可能となる。1066年ノルマン騎馬軍がアングロ・サクソンの伝統的な歩兵軍をじゅうりんしたヘースティングズの戦は,騎兵の主力としての優位を確立した事件であった。これは騎兵たりうる者のみが完全戦闘員の地位を独占したことを意味し,封建社会完成の一因となった。…

※「ヘースティングズの戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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