改訂新版 世界大百科事典 「ベリル島」の意味・わかりやすい解説
ベリル[島]
Belle-Île
フランス北西部,ブルターニュ半島南岸,キブロン半島から船で約1時間のところにある島。北西から南東に細長く延び,長さ約17km,幅5~10km,面積約84km2。人口5500(1980)。夏季には約1万5000人の保養客が集まるといわれる。周囲は絶壁が多く,最高63mに達する台地状の島である。西岸は風と雨にさらされて,ハリエニシダと小麦が交互にみられ,東岸や風かげには牧草地があり樹木が育っている。住民は農・漁業を行い,一部にはフランス領が英領カナダになった折に定着したカナダ人もみられる。17世紀に財務卿フーケが島を城塞化した。要塞化はその後も続けられ,東岸の主邑であるル・パレにはボーバンの手になる要塞がなお海岸を見下ろしている。西岸ではアポティケルリーの洞穴が有名で,荒々しい海岸とともに観光客を引きつけている。19世紀末,マネなどの画家やその他音楽家などの保養地ともなっている。
執筆者:田辺 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報