ボーバン(読み)ぼーばん(英語表記)Sébastien Le Prestre de Vauban

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボーバン」の意味・わかりやすい解説

ボーバン
Vauban, Sébastien Le Prestre de

[生]1633.5.15. サンレジェボーバン
[没]1707.3.30. パリ
フランスの武将,戦術家,築城家。53回にわたり攻城戦を指揮し,国境に 30の要塞を構築。当時「ボーバンに囲まれた町は必ず陥落,ボーバンが城壁を築けば難攻不落」という諺があったという。軍人として最高の地位まで昇進したが,課税の平等を主張した論文『国王十分の一税案』Projet d'une dixième royale(1707)が国王ルイ14世の不興を買った。主著『要塞攻守論』De l'attaque et de la défense des places(1705~06)。2008年,ボーバンがフランスの西部,北部,東部国境に築いた 13の要塞群が世界遺産の文化遺産に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボーバン」の意味・わかりやすい解説

ボーバン
ぼーばん
Sébastien Le Prestre de Vauban
(1633―1707)

フランスの軍人、築城家。中部フランスの小貴族出身。10歳で孤児となったが、1651年コンデ軍の将校になる。53年最初の戦闘に参加して新城塞(じょうさい)構築の必要を感じ、以後、オランダ戦争に至るまでフランドル国境に多くの城塞を築いた。一方、73年のマーストリヒト攻囲戦では新城塞攻略法を試みる。67年築城司令官。築城のほか、軍港運河、兵器改造にも参画し、1703年元帥となる。高潔な性格でルイ14世の政策にも批判的で、1689年にナントの王令(勅令廃止の危険性を警告した。また、国内各地を巡見し、民衆の深刻な生活苦を知り、98年、収入に応じた均等課税を求める『国王十分の一税』を著し、1707年に刊行したが、禁止され、失脚した。

[千葉治男]

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