日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンチマーク・イヤー法」の意味・わかりやすい解説
ベンチマーク・イヤー法
べんちまーくいやーほう
bench-mark year method
国富や資本などのストック量の計数を推計するための一手法。BY法と略称される。いま、毎年の資本形成(フロー)に関する統計は存在するが資本存在量(ストック)に関する数値は存在しないとき、これを推計することを考える。まず、資本形成の数値を長期間にわたり各年ごとに積み上げていけば、最初の年次から数えてその資産の耐用年数経過以降の年次については資本ストックの推計値が得られる。このような推計方法はパーペチュアル・インベントリー法(PI法)とよばれる。しかし、この方法では、観測期間の初期から耐用年数内の期間については正しい推計値が得られないため、フローの観測期間が短い場合には役にたたない。そのため、ある年次(基準年次)のストックの調査を行い、その数値にフローのデータを順次加減することによって、その前後の年次についてのストックを推計する。この方法がベンチマーク・イヤー法であり、ベンチマーク・イヤーとは、その推計の基準年次のことをいう。この推計方法は、さらにベンチマーク・イヤーを一つにとるか、二つ以上を用いて推計を行うかにより、それぞれシングル・ベンチマーク・イヤー法(SBY法)とマルチ・ベンチマーク・イヤー法(MBY法)とに分けられる。わが国では、国民経済計算体系のうちの貸借対照表勘定項目中、純固定資産、耐久消費財残高、在庫などの推計にこの方法が用いられている。
[高島 忠]