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国富 こくふnational wealth

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国富
こくふ
national wealth

ある特定国の正味資産の総額をいう。それは次のような2つの方法で定義される。 (1) 居住者の所有する各種の純有形資産および非金融無形資産の合計に非居住者に対する金融債権を加え,非居住者からの金融債務を差引いたもの,(2) 各居住者部門の正味資産総額の合計。

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世界大百科事典 第2版の解説

こくふ【国富 national wealth】

国富の概念には必ずしも定説があるわけではないが,簡単には〈一国の国民が所有する資産の総和〉ということができる。国民所得が一定期間に生産された財貨・サービスを記述するのに対し,国富は特定時点におけるそれらの現在高を表している。現在の国民経済計算体系(SNA)では,資産は有形資産と無形資産とに分類される。有形資産は,さらに〈再生産可能な有形資産〉と〈再生産不可能な有形資産〉に分類される。再生産可能な有形資産は,在庫と固定資産とから構成される。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

こくふ【国富】

国の経済力。国全体の富とみ
一国の再生産可能な全有形資産に、対外資産と対外負債の差額を加えたもの。国民所得を生み出す源泉であり、貨幣や株式・債券は含まれない。国民資本。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国富
こくふ
national wealth

国富とは、ごく大づかみには、一国の国民活動の結果としての蓄積された成果をいう。かつては、国富は一国の住民の財産の集計であるとされ、土地や天然資源なども含められて、漠然と国力の消長を測るものとされたこともある。しかし近年、再生産論的な見方や国民経済計算論が確立されてから明確に規定され、ある国の居住者によって所有される再生産可能ないっさいの有形財の、一定時点における合計額を、特定時点の貨幣価値で評価したもの、と定義されるようになった。さらに1968年の国際連合の新しい国民経済計算方式(新SNA)では、以上の見方に加えて、一国の財産基礎をも同時に把握する目的から、範囲を広げて、再生産不可能資産や無形資産を含める概念に移行した。区別を明確にするには、後者を、必要に応じ広義の国富と呼び分けるのが適切である。[宮澤健一]

ストックとフロー

国富をこういう形で概念する意味は、それが国民経済の活動の成果としての年々の財貨・サービスの流れ(フロー)たる国民所得を生み出す元本であると同時に、またそれが、その結果としての蓄積された諸財の蓄え(ストック)でもあるからである。国富と国民所得の両者の数量上の関係は、
 期首の国富+国民所得-消費=期末の国富
である。国富は国民資本とよばれることもあるが、その意味は、その基礎のうえに国民の労働による成果が付け加えられて、年々の国民所得が生み出され、その結果として、国富の減耗が補充され国富の額が拡大されるからである。なお、外国との取引関係が存在するときには、国内における国富に加えて、外国に対する対外資産から対外負債を差し引いた対外純債権がプラスされて、国富総額が構成されることになる。
 国富を構成する諸資産は、その種類も多様で、所有者、使用者もさまざまであるから、これら多様な資産を統一的、客観的にどう評価するかは、かなりの難事業である。日本の場合、内閣府(旧経済企画庁)から毎年公刊される『国民経済計算年報』の計数の基礎として、評価方法の細かい約束が用意されている。[宮澤健一]

国富の二面

国富には二つの顔があって、そのいずれの側からみても同じ大きさとなっているはずである。一つは、国富を実物面からみることで、その内訳は、まず再生産可能有形資産として、固定資産(建物、機械、船舶、車両、器具、備品など)、棚卸資産ないし在庫(原材料、仕掛け品、完成品、貯蔵品)がある。次に、再生産不可能有形資産として、土地、地下資源、漁場(ほかに河川、湖沼、海浜地などもあるが、これらはおおむね取引されることもなく評価も困難なため除外される)、また無形非金融資産として、特許権、商標権、著作権などが含められる(企業会計上の「のれん」は対象外)。既述のように、以上のものに対外純資産が加えられて国富総額が得られる。ただし推計上の制約から、上記中の無形非金融資産や歴史的記念物(史跡、建造物)などは正式数値としてでなく、推計体系から外して参考数値として欄外に示すのが、日本の現行方式である。
 国富のもう一つの顔は、請求権という権利面から眺めることである。国民経済の構成員であるおのおのの経済主体は資産を保有するとともに負債を負っているが、各主体が保有する総資産から総負債を差し引いた純額が、それぞれの主体の正味資産である。これが各主体の究極的な所有への請求権を構成する。そして、すべての経済主体にわたってその正味資産を合計した請求権の総額は、他方における国民経済の実物面の資産総額と一致する。国富はこうして、実物的側面と請求権的側面との二面をもっているのである。[宮澤健一]

国富と金融資産負債

国富のこの二側面は何によって媒介されているのか。両面をつないでいるものは貸借関係であり、金融資産負債の残高関係である。一国内の個々の主体は金融的な貸し借りによって関係しあっている。ところが、国民経済全体としてみれば、一方の貸しはかならず他方の借りである。したがって、経済全体では両者の残高は一致して、国民経済を一本に統合すれば、金融資産負債残高はプラス・マイナス相互に相殺される。そして、実物面、金融面の双方を含む全体の資産負債バランスにおいて相殺されずに残るのは、実物面では実物資産のみであり、権利面では正味資産のみである。こうしてこの両面は、ちょうどメダルの表と裏のように相互に対応しあう。
 このような国富にみられる両面の結び付きは、資産というものそれ自体がもつ二面的性質の反映である。その第一の性質は、生産や消費の活動のために用いられる実物資産ストックとしての側面であり、その第二の性質は、現存する実物資産に対する究極的な請求権がだれに帰属するかという、所有の権利の側面である。かくて、この両面のつながり関係を知るためには、国富統計だけでは不十分で、金融資産負債の統計と連結されなくてはならない。この両者を含んだ統計表が、国民貸借対照表とよばれる国民経済の勘定表である。[宮澤健一]
『宮澤健一著『日本の経済循環』第4版(1980・春秋社) ▽経済企画庁経済研究所編・刊『日本の国富統計』(1976) ▽経済企画庁編『国民経済計算年報』各年版(大蔵省印刷局、2001年4月発行の平成13年度版より内閣府編、メディアランド発行)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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