改訂新版 世界大百科事典 「ペシュメルル」の意味・わかりやすい解説
ペシュ・メルル
Pech-Merle
フランス南西部,ロー県カブルレCabrerets村にある旧石器時代の洞窟壁画遺跡。ペク・メルルともいう。1922年に土地の少年によって発見された。延長2kmの長大な洞窟で,複雑なプラン(平面)をもつ。ペリゴール期とマドレーヌ期のビゾン,馬,牛,マンモス,手形,斑点,人物など,多くの形象があらわされている。〈主室〉にはしりを向けあった2頭の馬が線描と平塗りを併用して描かれているが,これらの馬と関連する三つの陰型の手形は,当該動物をとらえるという呪術的意味を有する。右側の馬の頭部は岩盤の割れ目を利用してあらわされている。手形は〈王座の部屋〉の丸い石の上にも単独にあらわされている。〈マンモスの礼拝堂〉には堂々たる量感を示す諸動物が線描で描かれている。〈ル・コンベルの聖所〉には,乳房のような鍾乳石を囲んで多くの赤い斑点があり,多産の祈願をあらわす。
執筆者:木村 重信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報