ペッカム(その他表記)John Peckham

改訂新版 世界大百科事典 「ペッカム」の意味・わかりやすい解説

ペッカム
John Peckham
生没年:1220か25ころ-92

イギリスのフランシスコ会神学者。パリ(おそらくR. ベーコン師事)およびオックスフォードで学び,後年カンタベリー大司教となる。保守的アウグスティヌス主義者としてアベロエストマス・アクイナスアリストテレス主義を激しく批判した。《清貧論》《三位一体論》や聖書釈義など神学的著作ほか哲学自然学の著作も多く,《光学総論》は多くの大学で教科書として用いられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペッカム」の意味・わかりやすい解説

ペッカム
Peckham, Rufus Wheeler

[生]1838.11.8. ニューヨークオールバニ
[没]1909.10.24. ニューヨーク,オールバニ近郊
アメリカの法律家。ニューヨーク州最高裁判所判事 (1883~86) ,同州控訴裁判所判事 (86~95) を経て,1896年 G.クリーブランド大統領によって連邦最高裁判所判事に任命された。熱心な民主党員で,ロチェスター対ニューヨーク事件など有名な判決に加わり,その勤勉さと学識の深さで同僚判事や弁護士から尊敬された。

ペッカム
Peckham(Pecham), John

[生]1240頃
[没]1292
イギリスのスコラ哲学者,フランシスコ会士。 1279年カンタベリー大司教。トマス・アクィナスのアリストテレス主義に反対してアウグスチヌスの説を擁護した。

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世界大百科事典(旧版)内のペッカムの言及

【ウィテロ】より

…さらにアラビアの偉大な光学者イブン・アルハイサム(アルハーゼン)の《光学》から最大の影響を受け,光学の理論的内容はほぼ全面的に彼に依拠している。アルハーゼン《光学》の難解な数学的部分を詳しく扱った彼の書は,同時代人の光学者ペッカムの《光学通論》とともに,17世紀まで広く読まれ続ける標準的教科書となった。【高橋 憲一】。…

【光学】より

…この議論は光学そのものの発展に寄与することが少なかったが,多くの哲学者や神学者を光学研究へと向かわせたのである。事実,R.ベーコン,ペッカム,ウィテロのような哲学者がこの学問に取り組んだ。彼らは,発光体や視覚対象の〈可視的形象〉が周囲の媒体中に次々と増殖されることによって伝播するというグロステストの説と,イブン・アルハイサムの説を融合させ,中世独自の光学理論を打ち立てたのである。…

※「ペッカム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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