改訂新版 世界大百科事典 「ペルーティエ」の意味・わかりやすい解説
ペルーティエ
Fernand Pelloutier
生没年:1867-1901
フランスのジャーナリスト,労働運動指導者。当初ゲード派系の社会主義者として労働組合運動に参画し,1892年に武力革命に代わる合法的な革命の手段としてゼネストの戦術を提唱した。しかしゲードの受け入れるところとはならず,論争ののちにアナーキズムの陣営に移り,この派の諸命題を援用して,労働組合運動の役割を重視する独自の社会主義思想を練り上げ,サンディカリスムの基礎を築いた。95年以降は全国労働取引所連盟書記長として各地の労働取引所の設立と機能の充実を指導して組織の拡大を図り,90年代中葉,崩壊の危機にあったフランス労働組合運動の再興と発展に寄与した。他方,執筆活動を通して提示した労働者の倫理,文化に関する考察はソレルらの思想形成に多大の影響を与えるとともに,20世紀の労働者文学運動に骨格を与えた。貧困のうちに肺結核で死去。
執筆者:相良 匡俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報