ペントースリン酸経路(読み)ペントースリンさんけいろ(その他表記)pentose phosphate pathway

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペントースリン酸経路」の意味・わかりやすい解説

ペントースリン酸経路
ペントースリンさんけいろ
pentose phosphate pathway

糖の代謝経路の一つであって,六炭糖(C6)であるブドウ糖から→グルコン酸リブロース,クシルロース,リボースなどの五炭糖(C5)と進むもの。これらの反応は,すべて末端にリン酸を結合した六炭糖-6-リン酸,五炭糖-5-リン酸などの形で進行する。五炭糖リン酸はほかの経路ではあまり出てこない特徴的なものなので,これにちなんで呼ばれ,また単に側路 shuntなどともいう。この経路の最初のいくつかの反応は酸化反応であって,水素の受け取り手として還元型補酵素(NADPH2)が生じるが,これは解糖アルコール発酵の場合のように系内で再酸化されることはなく,酸素による酸化を必要とするので,好気的解糖の副経路ということができる。解糖の主経路である無気的なエムデンマイヤーホフ=パルナス経路に比べて活性は低いが,組織により,また条件によって,糖の分解のうち数%あるいは数割がこの経路を経て進むことがある。五炭糖骨格はさらに相互間で 2C5→C3+C7,C3+C7→C6+C4,C4+C5→C6+C3 などの反応を行ない,結局は C6または C3炭素鎖の糖となって主経路に合流する。また核酸ヌクレオチドに必要な五炭糖は,この経路によってまかなわれる。

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