日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホームリキュール」の意味・わかりやすい解説
ホームリキュール
ほーむりきゅーる
梅酒のように一般家庭で手軽につくられる混成酒。ウメ、スモモ、ミカンなどの果実に砂糖を加え、焼酎(しょうちゅう)などに漬けてつくる。梅酒は古くからわが国独特の家庭の酒としてつくられていたが、酒税法上はリキュールに相当するもので、免許なしで家庭でもつくることが可能になったのは1962年(昭和37)のことである。翌年、ミカン、スモモ、カリン、イチゴ、クワ、グミ、トチ、サルナシの使用が認められ、71年にはブドウを除くすべての果実が使えることになった。
果実の成分(色、香り、酸味、苦渋味)をアルコールで浸出するもので、アルコールは濃いほうがよく、35度焼酎がもっとも一般に用いられる。砂糖は、くせのない精製糖、角砂糖、氷砂糖を使う。使用量は多いほうが抽出効率はよいが、甘辛は好みに応じて加減する。作り方のこつは、(1)新鮮で傷がなく、酸味のある果実を選ぶこと、(2)水洗いしてよく水をきること、(3)広口瓶に入れ、密封して冷暗所に置くことである。そしておいしく飲むためには、果実特有の香りをたいせつにすること、甘酸渋苦のバランスのととのったときに、果実や果皮を引き上げることである。
[秋山裕一]
『石田穣著『果実の酒』(1981・日東書院)』