グミ科(APG分類:グミ科)グミ属の総称。グミ属には冬、葉の落ちるものと、落ちないものとがある。冬、葉の落ちるものは、春から夏にかけて、新しい枝の葉のわきに花をつける。アキグミ、ナツグミなど、日本には落葉グミが多い。そのなかでナツグミその他は4~6月に花が開き、1か月くらいですぐに果実が成熟するが、アキグミのみは4~5月に開花し、10~11月に至って成熟する。冬、葉の落ちないグミは、10~11月に、伸びきった枝の葉のわきに花をつけ、果実は翌年の春になって成熟する。ツルグミ、オオバグミ(マルバグミ)、ナワシログミなどが含まれる。これらの常緑グミは、花は鐘形または筒形で、筒は多少とも長く、その分布地域は日本中部以西から中国、ヒマラヤに及んでいる。この地域より南方には、花が小さくて筒の著しく短いグミが分布する。台湾のタカサゴグミE. oldhamii Maxim.がそれで、この系統のものはマレーからインドに分布していて、日本ではみられない。果実を食用とするものもある。
また、グミの多くの種類は、果実が多少とも肉質になり、熟して赤くなるものが普通であるが、まれに落葉グミのなかには果実が粉質になるものがある。粉質で果皮が黄色になるものはヨーロッパ南部、アジア中西部産のホソグミE. angustifolia L.であり、粉質で、果皮がいつまでも銀色の鱗片(りんぺん)に覆われているのは、北アメリカのE. commutata Bernh.(E. argentea Pursh)である。後者の果実は乾燥していて硬い。グミ属は世界に約40種あり、種の分類がむずかしいものの一つである。
[籾山泰一 2019年11月20日]
直立または半つる性のグミ科の1属。若枝,葉などに特徴的な星状鱗片を密布する木で,実は赤く熟し,多くの種では食べられる。材はねばりがあり,農具の柄などにする。グミはグイ実の略で,グイとはとげのことである。常緑または落葉の灌木あるいはつる性の木本で,小枝の変形したとげを持つものが多い。若枝や葉面に銀色から赤褐色の星状鱗片や,時に星状毛を密布する。葉は互生し,単葉,全縁で托葉はない。花は葉腋(ようえき)につく。萼は筒状で,子房の上端でくびれ,先は開いて4裂し,外面に星状鱗片を密布する。花弁はない。おしべは4本あり,花筒の内面につく。子房は1室で細長い花柱がある。果実は,子房をとり囲んだ花筒が肥厚し,外側は多汁質になり,その内側は丈夫な核になっている。核には縦の溝がある。グミ属は約60種が東アジアを中心にヨーロッパ南部,北アメリカに分布しており,根には根粒を有し,窒素固定をしている。グミ科Elaeagnaceaeはグミ属を中心に3属60種あまりを有する小さい科で,ジンチョウゲ科に近縁である。
日本には地方的な固有種が多いが,普通種には次のような種がある。ナワシログミE.pungens Thunb.(英名thorny elaeagnus)は海岸近くや浅山に普通な常緑低木。葉は革質で厚く,ふちはやや裏に巻き波状になる。花は秋に咲き,翌年の初夏に実が熟す。種子を乾燥したものは胡頽子(こたいし)と呼ばれ,漢方で下痢止めに使われる。苗代のころに実が熟すので,ナワシログミという。ツルグミE.glabra Thunb.は常緑のつる性低木で,枝は長く伸び,葉裏とともに赤褐色の鱗片におおわれる。アキグミE.umbellata Thunb.(英名autumn elaeagnus)は落葉低木で葉は細長く,葉裏,若枝は銀色。花は5月ころ,葉腋に多数つき,実は秋に熟する。ナツグミE.multiflora Thunb.(英名cherry elaeagnus)は4~5月ころ,花が葉腋に1~数個下垂する。実は5~6月に赤く熟し,長い柄がある。果実は大きく,栽培されるトウグミvar.hortensis Serv.は,果実に渋味がなく,食用にされる。さらに変種ダイオウグミvar.gigantea Arakiの実は長さ2cm近くになり,栽培される。
執筆者:岡本 素治
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