日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボトクード」の意味・わかりやすい解説
ボトクード
ぼとくーど
Botocudo
ブラジルに住む三つの別々の先住民集団の名称。一つは、ミナス・ジェライス州など東部内陸部に住んでいる集団で、ボルンBorunともよばれた。言語はジェ語族に属する。白人の植民者に強く抵抗した狩猟採集民で、50人から200人が拡大家族を形成し、ともに移動する外婚的なバンドをつくり、1人のリーダーによって率いられていた。19世紀末にはまだ5000人の人口を擁していたが、現在ではそのうちのクレナキKrenakとよばれる人口99人(調査年不明)の集団が残っているだけである。この集団出身のアイユトン・クレナキは著名な先住民運動家で、来日したこともある。もう一つは、アウェイコマAweikomaまたはショクレンShoklengとよばれ、これもジェ語族に属する言語を話す集団である。ショクレンはカインガンとごく近縁の集団で、これも元来は狩猟採集民であったが、現在では人口1650人(1994)で、サンタ・カタリナ州のいくつかの先住民区でグァラニなど別の先住民たちと、いっしょに暮らしている。もう一つのパラナ州のグァラニ系の集団もボトクードとよばれたが、詳細は不明である。
[木村秀雄]