改訂新版 世界大百科事典 「ボホナー」の意味・わかりやすい解説
ボホナー
Solomon Bochner
生没年:1899-1982
ポーランド生れの数学者。クラクフに生まれ,1921年ベルリン大学で博士の学位を取得,1927-33年までミュンヘン大学講師,33年からアメリカのプリンストン大学に就職,38年アメリカに帰化,46年同大学教授となった。業績は,まずフーリエ解析について,(-∞,∞)で単調増加かつ有界な関数α(x)によって,
と表現される関数f(x)の特性を与え正の定符号関数positive definite functionと呼んだ(1933)。次に区間[a,b]でバナッハ空間Bの値をとる関数f(x)に対してルベーグ流の積分
を定義した。そこでは,
と,
が成り立つようになっている。この積分をボホナー積分と呼ぶ。ボーアの概周期関数を拡張して,J.フォン・ノイマンとの共著の論文《群の上の概周期関数論》(1934)を発表した。そのほか数学に関する多くの著書があり,また,《科学史における数学》(1966)などの解説書もある。
執筆者:吉田 耕作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報