改訂新版 世界大百科事典 「ボルガバルト水路」の意味・わかりやすい解説
ボルガ・バルト水路 (ボルガバルトすいろ)
Volgo-Baltiiskii vodnyi put'
ボルガ川上流とバルト海を結ぶロシア連邦ヨーロッパ部北部の内陸水路。旧称マリインスカヤ水路Mariinskaya vodnaya sistema。ボルガ川上流のルイビンスク湖北端から北にいき,シェクスナ川,ベーロエ湖,コブジャ川,マリインスキー運河,ビチェグダ川,オネガ湖,ラドガ湖とネバ川を経てバルト海に至る。総延長1100kmをこえる。深さは最浅部で4m。19世紀前半に大半は自然河川を利用開通したが,一部は川底を浚渫(しゆんせつ)し,マリインスキー運河部の掘削も行われた。1960-64年に根本的に改修され,いくつかの小貯水池と発電所をもつ三つのダムが新設された。この水路の北部では途中から白海へ抜ける白海・バルト海運河が分岐し,南部ではルイビンスク湖からモスクワ運河を経てモスクワ港(北港)へ抜ける水路もある。ロシアの内陸水上輸送路の幹線としてきわめてよく利用され,定期客船も就航している。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報