日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラドガ湖」の意味・わかりやすい解説
ラドガ湖
らどがこ
Ладожское Озеро/Ladozhskoe Ozero
ヨーロッパ・ロシア北西部にあるヨーロッパ最大の湖。フィンランドとの国境近くにあり、フィンランド語名ラートカLaatokka湖。一般に英語、フランス語、ドイツ語などではラドガLadoga湖といっている。面積1万7700平方キロメートル(島を入れると1万8135平方キロメートル、琵琶(びわ)湖の約27倍)。平均深度51メートル、最大深度230メートル、湖面標高4メートル。
約660の島(面積計435平方キロメートル)が存在し、うち約500の島が北西部に、約65の島が中央部に分布している。沿岸部で12~5月、中央部で1~3月まで結氷する。水の色は黄褐色で、透明度は中央部でも4.5メートルにすぎない。サケ、ウグイ、スズキ、チョウザメなどの魚類が豊富で、漁業が盛んである。南東岸にオネガ湖より流出するスビル川が、西岸にフィンランドのサイマー湖より流出するボクサ川が流れ込み、南西岸からネバ川がフィンランド湾に流れ出している。これらはボルガ・バルト海水路、白海バルト海運河などにより、バルト海とボルガ流域および白海を結ぶ重要な交通路の一部となっている。スビル川とネバ川との間の交通は、湖の南岸に沿う新ラドガ運河を通じて行われている。第二次世界大戦中、レニングラード(サンクト・ペテルブルグ)がドイツ軍に包囲されたとき、ラドガ湖南西部は物資輸送路となり、「命の道」とよばれた。
[宇根 寛]