ラドガ湖(英語表記)Ladozhskoe ozero

改訂新版 世界大百科事典 「ラドガ湖」の意味・わかりやすい解説

ラドガ[湖]
Ladozhskoe ozero

ロシア連邦北西部の湖。面積はヨーロッパ最大で,1万8400km2(約500を数える島の総面積600km2を含む)。古くはネボNevo湖と呼び,湖から流れ出るネバNeva川にその名を残している。北西端は第四紀氷期の大陸氷河底面が沈水した形状のままであり,湖岸線は小フィヨルドあるいは溺れ谷状の出入りが著しい。最深点225mも北西岸沖にある。これに反して南東岸は沖積平野が発達してきわめて浅く,岸に沿ってノボ・ラドガ運河を掘削して船を通ずる。ボルホフ,スビリなどの川が流れこみ,ペトロクレポスチ市のある南西端からネバ川となって流れ出す。湖の表面水温は夏には南部で25℃,北部で15~17℃。湖岸は11~12月に結氷しはじめ,1~3月には湖央部も凍結するが,3月中・下旬にはとけはじめる。

 古代ロシアにおいて,ラドガ湖はスカンジナビアバルト海沿岸諸国とビザンティン帝国とを結ぶ〈ワリャーギからギリシアへの道〉上にあり,通商上重要な役割を果たした。現在,ロシアのヨーロッパ部分の内陸水運の重要な一環を形成している。西にネバ川を下ればサンクト・ペテルブルグからバルト海へ,東に行けば白海へ,ボルガ・バルト水路によればモスクワカスピ海にもぬけられる。沿岸のおもな港は,ペトロクレポスチ,プリオゼルスク,ソルタバラなどである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラドガ湖」の意味・わかりやすい解説

ラドガ湖
らどがこ
Ладожское Озеро/Ladozhskoe Ozero

ヨーロッパ・ロシア北西部にあるヨーロッパ最大の湖。フィンランドとの国境近くにあり、フィンランド語名ラートカLaatokka湖。一般に英語、フランス語、ドイツ語などではラドガLadoga湖といっている。面積1万7700平方キロメートル(島を入れると1万8135平方キロメートル、琵琶(びわ)湖の約27倍)。平均深度51メートル、最大深度230メートル、湖面標高4メートル。

 約660の島(面積計435平方キロメートル)が存在し、うち約500の島が北西部に、約65の島が中央部に分布している。沿岸部で12~5月、中央部で1~3月まで結氷する。水の色は黄褐色で、透明度は中央部でも4.5メートルにすぎない。サケウグイスズキチョウザメなどの魚類が豊富で、漁業が盛んである。南東岸にオネガ湖より流出するスビル川が、西岸にフィンランドのサイマー湖より流出するボクサ川が流れ込み、南西岸からネバ川がフィンランド湾に流れ出している。これらはボルガ・バルト海水路、白海バルト海運河などにより、バルト海とボルガ流域および白海を結ぶ重要な交通路の一部となっている。スビル川とネバ川との間の交通は、湖の南岸に沿う新ラドガ運河を通じて行われている。第二次世界大戦中、レニングラード(サンクト・ペテルブルグ)がドイツ軍に包囲されたとき、ラドガ湖南西部は物資輸送路となり、「命の道」とよばれた。

[宇根 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラドガ湖」の意味・わかりやすい解説

ラドガ湖
ラドガこ
Ladozhskoe ozero

ロシア北西部,カレリア共和国レニングラード州にまたがる湖。ヨーロッパ最大の湖で,面積 1万7600km2 (島を除く) 。周囲 930km。平均水深は 51m,最大水深 230m。サンクトペテルブルグの北東に広がり,カレリア地峡を隔ててフィンランド湾に相対する。北西岸は急崖をなし複雑に屈曲するが,そのほかは低平で単調。湖中には約 660の島 (総面積 456km2) がある。ボルホフ川,スビリ川などが流入し,南西部からネバ川が流出する。12月から 2月にかけて結氷し,3月から 4月に解氷。南岸に沿って建設されている運河は,ボルガ=バルト水路,白海=バルト海運河の一部をなし,ロシアの水上交通に重要な役割を果たしている。沿岸主要都市はシリッセリブルグ,プリオジョルスク。

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