日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボンゾン」の意味・わかりやすい解説
ボンゾン
ぼんぞん
Paul-Jacques Bonzon
(1908―1978)
フランスの児童文学作家。サント・マリ・デュ・モンに生まれる。師範学校を出て、第二次世界大戦後の1961年まで教壇に立った。その体験が、子供の心理をとらえ、創作するのに役だったとボンゾンは後に述べている。戦争中、対ナチス・レジスタンスに加わり、運動の一環として児童向けの作品を書いたことが、その一生を決定した。最初、北欧のバイキングや中世の少年たちの生活を描いた『銀の腕輪をしたバイキング少年』Le viking au bracelet d'argent(1957)、『名のない姫君』La princesse sans nom(1958)など歴史ものを手がけたが、彼の名を有名にしたのは『シミトラの孤児』Les orphelins de Simitra(1955)、『マヨルカ島のバレリーナ』La ballerine de Majorque(1956)や、『セビーリャの扇』L'éventail de Séville(1958)などのスペインを舞台にした作品である。ほかにサスペンスあふれる少年推理冒険シリーズ『六人組探偵団』Série ; Les six compagnons(1961~80)、『団地一家探偵団』Série ; La famille H. L. M.(1966~78)などがある。
[榊原晃三・小倉孝誠]
『榊原晃三訳『マヨルカ島のバレリーナ』(1980・偕成社)』▽『榊原晃三訳『クロワ・ルス少年探偵団』全10巻(1989~93・偕成社)』▽『末松氷海子著『フランス児童文学への招待』(1997・西村書店)』▽『私市保彦著『フランスの子どもの本』(2001・白水社)』