日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポコック」の意味・わかりやすい解説
ポコック
ぽこっく
David Francis Pocock
(1928―2007)
イギリスの社会人類学者。ケンブリッジ大学のペンブローク・カレッジを卒業。1951~1952年、最初のフィールドワークを東アフリカのインド人社会で行い、さらに1953年西インドのグジャラートを調査し、1955年に博士号を得た。オックスフォード大学のインド社会学講師を経て、サセックス大学教授を務め、ウガンダからのアジア系移民のイギリス国内への適応に関する調査を行った。エバンズ・プリチャードの影響を受け、認識論に強い関心を示し、ラドクリフ・ブラウン流の自然科学に範をとる社会人類学の方向を批判している。専門研究とともに、デュルケーム『社会学と哲学』の翻訳(1953)、『社会人類学』(1961)、『社会人類学の理解』(1975)などの一般向け著作を通じ、現代に生きることに社会人類学がどう結び付くかを明らかにしようとした。1987年に引退し学会を離れた。
[末成道男 2019年1月21日]
『末成道男訳『社会人類学入門――その思想的背景』(1970・弘文堂)』