ポックスウイルス(読み)ぽっくすういるす(その他表記)poxvirus

デジタル大辞泉 「ポックスウイルス」の意味・読み・例文・類語

ポックスウイルス(poxvirus)

ポックスウイルス科に属するウイルス総称。いずれもエンベロープをもつDNAウイルスで、宿主細胞原形質内で増殖する。痘瘡とうそう天然痘)、牛痘鶏痘を引き起こすウイルスが知られる。痘瘡ウイルス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポックスウイルス」の意味・わかりやすい解説

ポックスウイルス
ぽっくすういるす
poxvirus

ポックスウイルス科に属するウイルスの一群。2本鎖DNA(デオキシリボ核酸)をもち、外部に多重のタンパク質からなるコート(外皮)があって、1~2個のラテラルボディ(側体)と内部にゲノムをもつコアを包んでいる大形(約200×300ナノメートル。1ナノメートルは10億分の1メートル)のれんが型ウイルス。宿主(しゅくしゅ)(ウイルスの寄生対象となる生物)の原形質内で増生(増殖)するDNAウイルスである。ビリオン(細胞外で感染性を有するウイルス粒子)内にDNA依存性やRNAポリメラーゼ(DNA依存性RNAポリメラーゼ。DNA鋳型からのRNA=リボ核酸形成を触媒する酵素。RNA依存性の場合もある)をもっている。ポックスウイルスは、NP抗原(ウイルスの核酸から抽出される水溶性抗原)に共通抗原をもつ次の八つのウイルス属よりなる。すなわち、オルトポックスウイルスOrthopoxvirus、アビポックスウイルスAvipoxvirus、レポリポックスウイルスLeporipoxvirus、カプリポックスウイルスCapripoxvirus、パラポックスウイルスParapoxvirus、スイポックスウイルスSuipoxvirus、モルシポックスウイルスMolluscipoxvirus、ヤタポックスウイルスYatapoxvirusである。このなかではオルトポックスウイルス属に含まれる痘瘡(とうそう)ウイルス(天然痘ウイルス)がもっともよく知られている。

[曽根田正己]

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