鶏痘(読み)ケイトウ(その他表記)fowl pox

改訂新版 世界大百科事典 「鶏痘」の意味・わかりやすい解説

鶏痘 (けいとう)
fowl pox

ニワトリの病気。ニワトリの疱瘡(ほうそう)とも呼ばれる急性の伝染病で,皮膚や粘膜に特徴的な発痘が起こる。病原体はポックスウイルス科PoxviridaeのAvipoxvirus属に属するウイルスである。本病は養鶏が行われている所では今なお広範囲に常在し,ワクチンの普及で被害は減少しているが根絶してはいない。初めは皮膚や粘膜に灰白色の硬い丘疹が現れる。発痘は感染後4~6日でアワ粒大~米粒大となる。最盛期にはアズキ大にも達する。発痘は約10日間ほど続くが,表層から崩れて痂皮(かひ)(かさぶた)を形成し,次いで痂皮は脱落して消失する。粘膜もやや同様の経過をとるが,発痘病巣が崩れ出すと粘膜はびらんし,表層部に不潔な黄白色のクリーム状のものが多量付着する。感染から治癒まで約1ヵ月を要する。病原の検出は,ニワトリの皮膚より羽毛を抜き取り,その部位に可検材料を塗抹すると,6~10日で典型的発痘が起こる。またゲル内沈降反応によって抗原を検出する。予防には生ワクチンを使用するが,ウイルスの伝播(でんぱ)を媒介するカ,ニワトリヌカカ,ダニ駆除が有効である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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