牛痘(読み)ギュウトウ(その他表記)cowpox

翻訳|cowpox

デジタル大辞泉 「牛痘」の意味・読み・例文・類語

ぎゅう‐とう〔ギウ‐〕【牛痘】

牛がかかる痘瘡とうそう牛痘ウイルス人間にも感染するが、軽症で済み、人間の痘瘡への免疫をも獲得するので種痘に利用される。

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精選版 日本国語大辞典 「牛痘」の意味・読み・例文・類語

ぎゅう‐とうギウ‥【牛痘】

  1. 〘 名詞 〙 牛の痘瘡(とうそう)。その痘毒は人間に対して毒性が弱いので人体に接種し、痘瘡の予防に用いる。
    1. [初出の実例]「近来、牛痘を取て、人に種(うゆ)るに、其功人痘に勝ること抜群なる由ありと」(出典:遁花秘訣(1820)序)

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改訂新版 世界大百科事典 「牛痘」の意味・わかりやすい解説

牛痘 (ぎゅうとう)
cowpox

ヒト天然痘ウイルスに似たウイルスによって起こるウシ皮膚疾患。ジェンナーが〈牛痘にかかったから天然痘にかかる心配はない〉という乳搾りの娘の話からヒントを得て,種痘法を開発したことはよく知られている。種痘に用いられる牛痘ウイルスcowpox virusは,長い間ウシ,ヒツジなどの皮膚に植えついだものなので,現在の牛痘ウイルスとは異なってきており,ワクチニアウイルスvaccinia virusと呼ばれている。ヒトの天然痘ウイルスと牛痘ウイルスとのDNAの組換えが起こり,病原性がほとんどなく,免疫原性が強くなったものと考えられている。しかし天然痘は,WHOの種痘による根絶計画により,1977年10月ソマリアに患者が発生した以後根絶されてしまった。現在は種痘を行っている国はない。
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百科事典マイペディア 「牛痘」の意味・わかりやすい解説

牛痘【ぎゅうとう】

ウシの皮膚疾患。ヒトの天然痘ウイルスに似たウイルスによって起こる。普通は全身症状を起こさず,乳房限局した数個の痘疱(とうほう)を生ずる。牛痘ウイルスはヒトの皮膚創傷から感染し痘疱を生ずるが,一度牛痘にかかれば,人痘(天然痘)に対する免疫を獲得する。この事実ジェンナーが天然痘予防に利用した。→種痘痘苗

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「牛痘」の意味・わかりやすい解説

牛痘
ぎゅうとう
cowpox

牛痘ウイルスにより牛の皮膚,特に乳牛の乳頭,乳房に痘瘡のできる良性の牛のウイルス性伝染病。搾乳などで罹患牛に接触したり搾乳器具などに間接接触することで牛から人へも感染するが,発熱,リンパ節炎を伴い,発痘は手指などの局所にとどまる程度である。牛痘ウイルスは E.ジェンナーが人間の痘瘡の予防ワクチンとして用いたことで有名。

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栄養・生化学辞典 「牛痘」の解説

牛痘

 ウシに皮膚病を起こすウイルスの感染症で,ヒトにも感染する.ジェンナー (Jenner)が天然痘の免疫療法に用いたことで知られる.

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世界大百科事典(旧版)内の牛痘の言及

【ジェンナー】より

…牛痘種痘法を創始したイギリスの医師。グロスターシャーのバークリーで牧師スティーブンStephen J.の第6子として生まれた。…

【楢林宗建】より

…27年3月家督を相続し,永代長崎居住の佐賀藩医となり,藩のために海外事情収集の役割も担った。かねてシーボルトから学んだ牛痘接種法を実施するために尽力し,48年(嘉永1)来日のモーニケOtto G.J.Mohnikeにはかって海外から牛痘痂を取り寄せ,翌年それに成功し全国に普及する道を開いた。著書に《牛痘小考》《楢林煉膏書》ほかがある。…

※「牛痘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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