3日間とか1か月といった短期限定で出店・営業する店舗。ポップアップpop-upは「突然ひょっこり現れる」という意味で、空き店舗などに突然出店して消費者の意表をつき、宣言・販促効果をあげる店舗戦略の一つである。イベントやプロモーションと連動して出店することが多く、営業期間が終われば跡かたもなく消えてしまう。ポップアップショップ、ホップアップリテール、ポップアップ店ともいわれる。
商業ビルなどに短期間出店する期間限定ショップは以前からあったが、ポップアップストアは年末商戦などで活用されることが多く、期間限定ショップよりイベント性が強いとされる。2002年のクリスマス商戦で、ロンドンの大手スーパーがテムズ河畔埠頭(ふとう)に船を浮かべた仮設店を出したのが始まりとされる。話題性や希少価値から若年層などの人気をよび、欧米を中心に普及。インターネット上に広告が突然現れるポップアップ広告にちなんでポップアップストアとよばれるようになった。仮店舗であるため内装などに費用をかけず、商品・サービスのイメージを明快に打ち出すデザインが用いられることが多い。常設店より1日当りの賃料(使用料)は高いが、保証金・敷金・礼金がなく、出店費用を抑えられる利点がある。リーマン・ショック以降、安価な出店・販促策として注目され、空き店舗や遊休空間を活用したいテナント側と斬新な販促策を打ち出したい小売側の需要が合致し、世界に広がった。日本でもとくに2015年(平成27)以降、ネット通販業者などの新規商品の販促策として急速に普及した。ファッション・雑貨のほか、食品、自動車などでポップアップストアを利用する業種が広がっている。テナント側と小売側の需要を仲介するサイトも登場し、集客のため百貨店や大型商業施設の一角にポップアップストア専門エリアを設ける例も増えている。
[矢野 武 2019年9月17日]
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