日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイヤ」の意味・わかりやすい解説
マイヤ
まいや
Georg von Mayr
(1841―1925)
ドイツの統計学者。ウュルツブルクに生まれる。ミュンヘン大学卒業後バイエルン統計局に入り、のち局長を務め、ドイツの統計事業発展のために指導的役割を果たした。その間ミュンヘン大学の員外教授も兼務、1898年から同大学の統計学および財政学の正教授となり、研究と教育に情熱を傾け、晩年には総長を務めた。旧来の統計学の諸潮流を批判し、統計学は社会を構成する諸要素(社会集団)を全体的に観察することによってその合法則性を究明する精密社会学であるとし、統計調査法に理論的基礎を与えるとともにその方法的体系化を行った。大著『統計学と社会学』Statistik und Gesellschaftslehre全3巻(1895~1917)はその全容を示すものである。とくに第1巻『統計学の本質と方法』Theoretische Statistik(1895)は、おりから統計調査の国際的発展期にあたっており、各国において教典的役割を果たした。また、その学問的な流れはドイツ社会統計学派として継承され、今日の社会科学派統計学にも大きな影響を与えている。
[木村太郎]
『大橋隆憲訳『統計学の本質と方法』(1943・小島書店)』▽『マイア著、高野岩三郎訳『社会生活における合法則性』(1944・栗田書店)』▽『有田正三著『社会統計学研究』(1963・ミネルヴァ書房)』