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中国語 ちゅうごくご Chinese language

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

中国語
ちゅうごくご
Chinese language

中国の人口の約 94%を占める漢民族が用いている言語。言語人口は,世界各地に分布する華僑ら移民を含めて 12億人以上と推定される。中国語の名称は現代漢語をさすのに用い,古代から現代までの総称として「漢語」を用いることも多い。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

中国語

中国の主要な民族・漢族(総人口の92%)の言語で、漢語とも言う。7〜8の方言に大別され、共通語は北京など北方語を基礎にし、「普通話」と呼ばれる。中国大陸や台湾、世界各地の華僑・華人が使う。台湾では「国語」、東南アジアでは「華語」と呼ぶ。漢字の数は時代とともに増え、清代の「康熙字典」で4万7千余り、現代の「漢語大字典」で5万4千余りとなった。ただ、普通話で日常使われるのは約4千字。49年の中華人民共和国建国後、識字教育のために字体が大幅に簡略化された「簡体字」が使われるようになった。従来の字体は「繁体字」と呼ばれ、台湾や香港で使われる。

(2006-01-28 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ちゅうごく‐ご【中国語】

シナ‐チベット諸語に属する言語で、中華人民共和国の公用語。台湾および国外の華僑の間でも話される。方言は、北方・呉・湘(しょう)・贛(こう)・客家(はっか)・閩(びん)・粤(えつ)の七つに大別される。普通話(プートンホワ)とよばれる共通語は、北方方言を基礎とし、北京語の発音を標準音としている。形態的には孤立語的特徴をもつ。

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百科事典マイペディアの解説

中国語【ちゅうごくご】

中国人の大部分を占める漢民族の言語。チベット語ビルマ語タイ語と同系統で,シナ・チベット語族に属するとされる。1語が1音節からなり,各音節は〈淮huai〉のように,語頭の子音hの頭音(声・声母)と,uaiという母音の尾音(韻・韻母)とから形成される。
→関連項目音韻学国語運動孤立語タイ諸語チベット・ビルマ語派朝鮮語

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世界大百科事典 第2版の解説

ちゅうごくご【中国語 Chinese】

中国人は普通には中国話Zhōng guó huàと呼ぶ。中文Zhōng wén,華語Huá yǔなどともいうことがある。漢民族の日常使用する言語であると同時に,中華人民共和国の〈国語〉であり,また国際連合諸機関で中華人民共和国を代表するための国際公用語でもある。漢民族の言語ということを特に強調するときの中国人の呼び方は漢語Hàn yǔである。
【構造】

[音韻]
 単位となる〈音節〉の独立性が高く,語彙もただひとつの音節から成ることが珍しくない〈単音節語〉である。

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大辞林 第三版の解説

ちゅうごくご【中国語】

シナ-チベット諸語に属する言語の一。中国の公用語。また、香港・マカオをはじめとする海外在住の華僑の間で話される。主に単音節からなる単語に意味の弁別機能をもつ声調が伴っていること、単語の文法関係が語順や形式的補助語によって表示される孤立語であることなどが特徴。発音の上で方言差が非常に大きく、北京語の他に粤えつ語・呉語・客家ハツカ語・閩びん語などがある。現在の共通語(普通話)は北方語彙を中心に北京音で発音する。シナ語。

出典|三省堂
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世界の主要言語がわかる事典の解説

ちゅうごくご【中国語】

中国本土と台湾を中心に、おもに漢族によって用いられている言語。中国、台湾、シンガポールの公用語あるいは公用語の一つ。世界各地の華僑にも用いられ、話者数(13億人)は世界最多。国際連合の公用語の一つでもある。現代の中国語は、大きくは、北方方言(官話方言ともいう:話者数の7割を占める)、呉()方言(上海語・蘇州語など)、粤(えつ)方言(広東語)、閩(びん)方言(福建語:北と南に分かれる)、湘(しょう)方言(湖南省)、贛(かん)方言(江西省)、客家(ハッカ)方言(中国南部に散在)に分けられる。これらの間ではとくに発音の違いが大きいが、北京の発音と北方方言の語彙(ごい)をもとに定められた「普通話」が標準語の役割を果たしている。言語的な特徴としては、音節の独立性が高く1音節からなる語が多い、音節の発音を区別する声調(トーン:標準語では4種類)がある、表記に漢字が用いられ字音は通常1音節からなる、文は漢字を並べてつくられ語順が決定的な役割を果たす、などがある。音節は標準語で約1300種類ある。漢字は5万を超えるが、実際にはその数分の1が使われ、さらに約2200の簡体(かんたい)字がつくられている。漢字のラテン文字表記(拼音(ピンイン))も導入されたが、今はおもに発音表記として使われている。歴史的には殷代の甲骨文字(前13世紀ごろ)以来の膨大な文献をもち、音韻体系や構文の変遷の研究にも豊富な資料を提供している。単音節や声調などの特徴から、インドシナ半島やチベット、ネパールの諸言語と系統を同じくするシナチベット語族が想定されているが、まだ仮説の段階にある。◇漢語、また華語ともいう。

出典|講談社
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

中国語
ちゅうごくご

中国本土とその周辺地域を中心に、おもに漢民族により用いられる言語。多くの少数民族を含む多民族国家である中華人民共和国では、漢族の言語という意味で、正式には「漢語」とよばれる。少数民族にも中国語を併用するものがあり、東南アジア、アメリカ合衆国など世界各地の華僑(かきょう)によっても用いられるので、中国語人口はおそらく14億に近く、世界で話し手のもっとも多い言語である。[平山久雄]

系統と歴史

中国語はタイ語、苗(ミャオ)語、チベット語、ビルマ語などとともにシナ・チベット語族(漢蔵語族)に属するといわれるが、これは、単音節性、孤立語性、声調の存在など類型論的な共通性やごく少数の単語の語形類似に基づく推測にすぎず、音韻の対応による厳密な学問的証明はまだできていない。中国語がそれら諸言語と系統関係をもつとしても、それらから分かれ出た年代は非常に古い(おそらく5000年よりも以前)と思われる。
 中国語の記録は殷(いん)の甲骨文字(前13~前11世紀)に始まり、漢字による文献(多くは写本として伝えられたのち刊行された書籍)が周以後の各時代にわたり豊富に残されている。『論語』など先秦(せんしん)時代の書物にみられる言語は比較的口語に近かったが、漢以後それは固定して古典文語となり、時代による文体の差は若干あるものの、基本的にはそのまま20世紀初めまで正式の書きことばとして伝承された。一方、『世説新語』(5世紀の逸話集)のように、文語のなかに当時の口語をやや多く含む文献もあり、10世紀以後には、禅僧の語録(問答集)や『水滸伝(すいこでん)』など白話小説のごとく口語をおもに用いた文献が現れ、各時代における中国語の実態をうかがうことができる。これらの文献資料により、中国語の歴史はいちおう次のように区分される(王力(おうりき/ワンリー)著『漢語史稿』の区分にほぼ従う)。(1)古代語(前13~後3世紀)、(2)中世語(4~12世紀)、(3)近世語(13~20世紀初)、(4)現代語(1919年の五・四運動以後)。音声の面では、『詩経』の詩の押韻と形声文字の声符の研究をもとに推定される「上古音」、隋(ずい)時代の韻書(作詩用の発音字典)『切韻(せついん)』をもとに推定される「中古音」、元時代の韻書『中原(ちゅうげん)音韻』から推定される「近世音」、および現代標準語音(北京(ペキン)音)がおもな結節点をなす。
〔1〕古代語は単音節の単語が多く、孤立語的性格も強いが、他面「見」*kin去声(見る)→*g‘in去声(見られる、現れる)のごとき子音の交替、「将」*tsiang平声(率いる)→*tsiang去声(率いる者、大将)のごとき声調の交替による屈折語的な派生法もみられる。「吾誰欺」(ワレ誰(タレ)ヲカ欺(アザム)カン)、「不吾知」(ワレヲ知ラズ)のように、疑問代名詞や否定文の代名詞が目的語となる場合、それが動詞の前に置かれ、一人称代名詞の主格と所有格には「吾」が多く使われ、目的格(動詞に後置)には「我」が多く使われた。「上古音」が*kl-, *pl-などの二重子音、, などの無声鼻子音を有したのも後世にはない特色である。
〔2〕中世語には、代名詞「是」(これ)が主述の関係を示す「繋詞(けいし)」に変じ、名詞述語文(AはBである)が古代語における「A、B也(なり)」から「A是B」となり、三人称代名詞(「伊」「渠」「他」など)や名詞複数語尾(「等」「輩」など)の発生、(「1匹の馬」のごとく)名詞を数える際に添えられる類別詞(「枚」「箇」「匹」「頭」など)の発達、動詞の複合形式が発達し、動作の分析的表現が容易になるなど、現代語にもつながる新しい変化が多くみられる。「這」(これ)、「什麼」(なに)、「喫」(食べる)など、現代の常用語でこの時期に姿を現したものも少なくない。名詞語尾「子」(「椅子(いす)」「帽子」など)の使用も唐代には盛んとなった。「中古音」はなお相当複雑な組織をもち、音節初頭子音(声母)には全清音(p,t,k,tsなど無声無気音)、次清音(p‘,t‘,k‘,ts‘など無声有気音)、全濁音(b,d,g,dzなど有声音)、次濁音(m,n,l,jなど鼻音・流音・弱摩擦音)の4系列があり、音節末音(韻尾)にはi,uのほかにm,n,,p,t,kがたち、中心母音の数も多く、声調は平声、上声、去声、入声の4種(四声)があった。
〔3〕近世語は、中世語に現れた革新を継承しつつ、動詞の態を示す語尾「了」(完了)、「着」(持続)、「起」(開始)が確立し、一人称代名詞の包括形(聞き手を含む意味での「われわれ」)「)」、非包括形「俺」、名詞語尾「兒」の使用が多くなるなど、新しい特色を増した。「近世音」では全濁音が全清音または次清音に合流し、入声が消失または弱化し、中心母音の数も減るなど、発音組織の単純化が進み現代標準語の発音体系にかなり近づいている。
〔4〕現代語は、このような近世語の基礎のうえに、近代的な概念や事物、さらに社会主義の思想や体制に対応する語彙(ごい)や表現が加わって成り立ったものである。口語文が公用の文体となり、魯迅(ろじん)、毛沢東(もうたくとう)など有名著作家の文体は口頭語にも影響を与えた。西欧語の話法が取り入れられて精密な表現がなされるようになった反面、口語文の表現は近年かえって生硬になったともいわれる。[平山久雄]

方言と標準語

中国語が話される地域は、歴史上、漢民族の発展に従い、もとの黄河流域からその周辺、ことに南方へと拡大したが、その間、方言の相違が顕著となった。前漢の揚雄(ようゆう)が著した『方言』は当時のおもな方言地域の語彙を対照した書物である。六朝(りくちょう)時代の南朝では、土着の南方方言と、支配階層が北方からもたらした北方方言とが並び行われた。現代中国語に存在する無数の方言は、発音上・語彙上の特徴により次の5群に大別される。
〔1〕北方方言(官話方言)。揚子江(ようすこう)以北(以南では南京(ナンキン)市周辺、貴州省、雲南省など)の広大な地域を占め、中国国内の漢民族人口11億8260万(2002)の約70%の人たちにより話される。内部はさらに華北方言(東北三省・河北省・河南省・山東省)、西北方言(山西省・陝西(せんせい)省・甘粛(かんしゅく)省)、西南方言(湖北省・四川(しせん)省・雲南省・貴州省)、江淮(こうわい)方言(安徽(あんき)省・江蘇(こうそ)省)に分けられる。
〔2〕呉(ご)方言。江蘇省(揚子江以南)、浙江(せっこう)省。いわゆる上海(シャンハイ)語、蘇州語はこれに属する。
〔3〕(びん)方言。いわゆる福建語。福州を中心とする北方言、厦門(アモイ)を中心とする南方言に分けられる。南方言は広東(カントン)省東部(潮州・汕頭(スワトウ)など)、台湾、海南島にも広がる。
〔4〕粤(えつ)方言。いわゆる広東語。広東省、広西チワン族自治区、香港(ホンコン)。海外華僑は多く粤方言および方言を日常語とする。
〔5〕客家(ハッカ)方言。北方の戦乱や飢饉(ききん)を逃れた難民の子孫という客家の人々の方言。広東・福建・江西の境界地帯を中心に、華南各地に散在。
 以上5群のほかにも湘(しょう)方言(湖南省)、(かん)方言(江西省)など中間的な方言がある。これら方言群の間では、音声の差がもっとも大きく、語彙がこれに次ぎ、文法の差は比較的小さい。基礎語彙200語における同語源単語の比率をもとに方言群間の距離を測ると、〔1〕からみて〔2〕〔4〕〔5〕〔3〕の順で差が開き、〔1〕と〔3〕は英語とドイツ語よりも離れている。これら諸方言に共通する祖先を想定し、漢祖語と名づけるならば、漢祖語の年代は古代語の時期に属するであろうが、漢祖語から分化してのちも、各方言は同じ方向に変化する傾向があったため、見かけ上の漢祖語の年代はそれより新しく、ことに、各方言の発音体系は「中古音」が別々の方向に変化したものとしてだいたい説明できる。
 方言の分化は、一方では標準語を生んだ。中国歴代の政治、文化の中心はおおむね華北にあったので、華北とくに首都の置かれた地域の方言が標準語の役割を果たし、白話小説や語録なども北方方言で記され、それが清(しん)朝時代の「官話」を経て現代の標準語(「普通話(プートンホワ)」、中華民国時代には「国語」)に受け継がれ、学校教育やマスコミを通じて全国に普及しつつある。「普通話」は北方方言の語彙と北京の発音により、近代の代表的著作に文法規範を仰ぐものと公式には規定されているが、話しことばとしての標準語は、現実には話し手の出身地の訛(なま)りを含むこと、他の国々におけると同様である。近代以前にあっては、文語が共通語として識字階層の間に大きな役割を演じた。つまり、漢字文を各地方の人が自己の方言音で読み、理解することにより、漢民族の政治的、文化的統一が維持されたといえる。このような機能は現代の文章語にもあり、中国語のローマ字化が困難である一つの理由は、単語の発音が方言により大きく異なることにある。[平山久雄]

発音・文字

中国語は、音節のくぎれが明瞭(めいりょう)である。音節は、初頭子音である声母、声母を除く残りの部分である韻母、音節が担う音調である声調に三分される(声調も韻母に含められることがある)。韻母はさらに介音、主母音、韻尾に三分される。たとえば「官」の字音[kuan]を構成する四つの音声は順に声母、介音、主母音、韻尾にあたり、これに声調として高平等の音調(第一声)が加わっている。このような音節構造は「上古音」以来変わっていないが、「馬」[ma]のように介音や韻尾を欠く場合もある。声母の同じ字を「双声」、韻母(と声調)の同じ字を「畳韻」といい、詩文の音調を整えるために利用された。韻母が同じまたは似た字は韻文のなかで互いに押韻できるが、唐詩などの古典詩では声調の同じことも押韻に必要な条件であった。「中古音」にあった4系列の声母のうち、全濁音は呉方言など一部の方言を除いて、現在では全清音または次清音に合流した。現代中国語に濁音がないといわれるのはこのためである。声調は中国語の発音における大きな特色であり、「中古音」の平・上・去・入の四声がそれを担う音節の声母の清・濁を条件に分裂や合流をおこし、現代方言の声調体系を生んだ。北京方言では、平声が二分され、上声の一部が去声となり、入声が失われた結果、第一声(陰平声、高平調)、第二声(陽平声、上昇調)、第三声(上声、低くぼみ調)、第四声(去声、下降調)となり、ほかに語尾や助詞の声調が弱まって生じた「軽声」がある。同じ[ma]という音節でも、第一声で発音すれば「媽(ま)」(お母さん)、第二声で発音すれば「麻」(あさ)、第三声で発音すれば「馬」(うま)となるなど、声調は単語を区別する重要な要素である。南方方言は一般に声調の数が多く、広州方言では平・上・去声が二分され、入声が三分されて九つの声調をもつ。入声は短く詰まることを特色とする。声調によって中国語は抑揚に富んだ音楽的な印象を与える。声調による区別を含め、「中古音」には約3500、現代広州方言には約1800、北京方言には約1300の音節がある。
 音節が連なって複音節語や句をつくるとき、ストレス・アクセントがそこに加わる。たとえば「大字」dzは、第1音節にストレスがあれば“「大」という字”、第2音節にストレスがあれば“大きい字”の意味となる。このような現象は古代語にもあり、たとえば「射人」は、「射」にストレスがあれば“射手”、「人」にストレスがあれば“ 人を射る”の意となるごとく、文法構造とストレスの間に一定の関係があったとみる学者もある。
 中国語を書き表すには漢字が用いられてきた。漢字は字形、字音、字義の3要素からなる表語文字である。字音は通常1音節からなる。字形の構成原理として象形、指事、会意、形声、転注、仮借(かしゃ)の「六書(りくしょ)」があり、字体には篆(てん)書、隷書、楷(かい)書などの別があるが、字画を省略した俗字体(「劉」に対する「」のごとき)も民間では多く用いられた。中華人民共和国は約2200の簡体字(略字)を正式字体として制定(1956および1964)したが、このなかには俗字体を採用したり、古代の字形(「從」に対する「从」のごとき)を復活したものが少なくない。表音文字で中国語を表した例は、元代のパスパ文字によるもの、明(みん)末のローマ字によるもの(ヨーロッパ人宣教師による)があるが、近代ではウェード・ジャイルズ式のローマ字表記が広く行われ、中華民国時代には声調を綴(つづ)り込んだ「国語ローマ字」方式や、日本の片仮名に似た字形の「注音字母」を組み合わせる方式が行われた。中華人民共和国では「漢語(へいおん)方案」(1958)とよぶローマ字綴りが制定され、国外でもしだいにウェード・ジャイルズ式にとってかわりつつあるが、いまのところ漢字の標音や転写の手段にすぎず、漢字や漢字文が廃れる兆しはない。[平山久雄]

文法・語彙

中国語は単音節性の言語といわれる。これを、単語の多くが1音節の語形をもつという意味にとるならば、古代語は確かにその傾向が強かった。たとえば『論語』の第一句「学而時習之」は一音節語のみからなる。しかし、発音組織が単純化し、音節数が減るとともにしだいに複音節語が増え、現代語はもはや一音節語が多数を占めるとはいえない。ただ、音声と意味の結合した最小単位である形態素の多くが、1音節であるという意味でならば、中国語は依然として単音節性の言語だといえる。たとえば、「卓子」(テーブル)、「好看」(美しい)はいずれも2音節の単語であるが、意味上はおのおの1音節の形態素に分解される。一方では、「逍遙(しょうよう)」「彷彿(ほうふつ)」「蟋蟀(しっしゅつ)」(こおろぎ)など単音節に分解しては意味をなさぬ二音節形態素(同時に単語)が古代語に存在し、それらの多くは双声あるいは畳韻の音節からなるものであった。現代でも「(コータ)」(できもの)、「角落」(すみっこ)、「蜻」(とんぼ)などでは二音節形態素であり、「太陽」(お日さま)、「麻煩」(めんどうな)のように語源上は二つの形態素に分けられても、現在の話者の意識ではもはや分割が困難なものも生じている。また、指小語尾「兒」のように音節としての独立性を失い、語幹音節の韻尾として加わるにすぎなくなった形態素もある。
 文法的には、中国語は孤立語だといわれる。すなわち、文法関係が、インド・ヨーロッパ語など屈折語のように、単語の内部屈折や語尾変化によらず、またアルタイ語など膠着(こうちゃく)語のように付属語や助辞の添加にもよらず、自立語の配列される語順によって表されるという意味である。たとえば「我打人」(私は人を打つ)と「人打我」(人は私を打つ)の相違はもっぱら語順に頼っている。しかし、古代語でも「之」「者」「也」のごとき付属語があり、中世語以降は膠着語的な傾向をいっそう増してきた。現代語における「了」「着」の付着は動詞の語尾変化ともみなしうる。現代の中国語は単音節性、孤立語性、前置詞句の発達などの点で現代英語と似た面があるが、他方では「他是日本女人」(彼は日本女性だ。「彼の妻は」の意)のごとき主語―述語の意味関係の自由さ、「我肚子疼」(私は腹が痛い)のごとき二重主語文の存在、文末に置かれた助詞(「」「」「」など)によって疑問、断定、推量などのムードが表現されることなど、案外日本語と似通う一面もある。
 文中のどの位置にたちうるかという能力すなわち職能は、単語によって相違があり、これによる品詞分類が可能である。現代語でたとえば「打」「来」などは単独で述語となれるが、「我」「人」などが述語となるには繋詞「是」の助けを借りねばならず、前者は動詞、後者は名詞として分類される。形容詞は、動詞と職能が近く、動詞の下位区分の一つにあたる。日本語の「学習する」「科学的」などのような品詞転換用の語尾に乏しいので、同形の単語がそのまま異なる品詞に使われることがある。たとえば「学習」は名詞と動詞に、「科学」は名詞と形容詞に用いられる。古代語では「君不君」(君、君タラズ)、「豕人立」(豕(ぶた)、人ノゴトク立ツ)のごとく品詞の転換はいっそう自由であった。
 語彙の面でもっとも特色あるのは親族名称であり、男系の親族と女系の親族をはっきり分けるのが原則で、同じ「おじ」でも「伯父」(父の兄)、「叔父」(父の弟)、「舅父(きゅうふ)」(母の兄弟)などが区別される。古代語では、家畜について「羔(こう)」(仔羊(こひつじ))、「羝(てい)」(牡(お)羊)、「(そう)」(牝(め)羊)のごとき多くの名称があったが、今日では「小羊」(仔羊)、「公羊」(牡羊)、「母羊」(牝羊)のごとく合成語を用いる。現代語では、口語語彙のほかに種々の程度に文語的な語彙が豊富にあり、たとえば「め」は、口語では「眼睛」だが、熟語や多少硬い表現では単に「眼」といい、さらに文語的な表現では「目」を用いる。擬声語は日本語のように豊富ではないが、「暖」(ぽかぽか暖かい)「直截了当」(きっぱりと)、「実事求是」(事実に即して)など3字・4字の形容句・成句が多くあって、表現に色彩を添える。少数の尊敬語・謙譲語があるほかは、とくに敬語の組織はなく、男女の言語差もほとんどない。
 中国語は外来語の比較的少ない言語といわれる。「琵琶(びわ)」「葡萄(ぶどう)」などは西域から古代語に入った外来語、漢以後仏典の翻訳に伴いサンスクリットから「和尚(おしょう)」「刹那(せつな)」などが入り、近世ではモンゴル語、満州語から「胡同」(横丁)、「站(たん)」(駅)などが入り、近現代では「阿片」(アヘン)、「」(コーヒー)、「邏輯」(ロジック)などが英語から入った。これらは音訳語であるが、仏典翻訳の際には「世界」「現在」「地獄」などの意訳語がつくられ、近くは欧米の事物を取り入れるに際し、用語を意訳することが多い。「鉄路」(鉄道)、「電視」(テレビ)、「輸入」(電算機のインプット)などである。「経済」「社会」のごとく日本人が考案した意訳語を使うことも多く、「手続」「場合」などの訓読語までも中国語に取り入れられた。「酒(ピーチウ)」(ビール)、「拉機」(トラクター)のごとく音訳字と意訳字を結合させたもの、「可口可楽」(コカコーラ)のごとく音訳字にある意味を表現させたものもあり、漢字のもつ表意性の根強さを物語っている。[平山久雄]

日本語その他周辺諸語への影響

日本語は、推古(すいこ)天皇のころから大量の漢字(とその音(おん))および漢字で書かれた語彙(いわゆる漢語)を取り入れ、明治以後、近代文明の摂取にあたっても、漢字によって西欧の語彙を意訳した。今日、これら新旧の漢語を用いずに言語生活を営むことはほとんど不可能である。数詞のごときも漢語系の「一(いち)、二(に)、三(さん)」などが和語「ひ、ふ、み」などを圧倒している。また、漢文訓読によって「……スル所ノ」「未(いま)ダ……セズ」等いわゆる漢文調の言い回しが生まれた。今日の日本語で盛んに用いる「……的(てき)」の表現も、江戸・明治の学者が中国の白話小説にみえる助詞「的」を音読したことに起源をもつ。発音の面でも拗(よう)音や撥(はつ)音が生じたのは漢字音の影響という。朝鮮、ベトナムもまた唐およびその前後の時代に漢字文化を取り入れ、大量の中国語彙を借用した。これらは今日でも多く使われている(ただし、ベトナムではローマ字化され、朝鮮ではハングル化された)。日本を含めこれら漢字文化圏の諸国では、長らく中国文語が正式の文章とされ、中国文語はヨーロッパ中世におけるラテン語に似た役割を果たした。
 その他の周辺言語は漢字を用いなかったが、中国語から若干の単語を借用した。モンゴル語のbaksi(先生。「博士」に由来)のごときがそれである。華南のタイ系、苗(ミャオ)系の少数民族語は、漢民族との交渉が深く、新旧多くの借用語を含んでいる。[平山久雄]
『山田孝雄著『国語の中に於ける漢語の研究』(1940・宝文館) ▽王力著『漢語史稿』全3巻(1957~58・北京・科学出版社) ▽太田辰夫著『中国語歴史文法』(1958・江南書院) ▽牛島徳次・香坂順一・藤堂明保編『中国文化叢書1 言語』(1967・大修館書店) ▽中国語学研究会編『中国語学新辞典』(1969・光生館) ▽藤堂明保・相原茂著『新訂中国語概論』(1985・大修館書店) ▽高田時雄著『敦煌資料による中国語史の研究 九・十世紀の河西方言』(1988・創文社・東洋学叢書) ▽S・R・ラムゼイ著、高田時雄・阿辻哲次・赤松祐子・小門哲夫訳『中国の諸言語――歴史と現況』(1990・大修館書店) ▽水谷真成著『中国語史研究 中国語学とインド学との接点』(1994・三省堂) ▽高野繁男著『近代漢語の研究 日本語の造語法・訳語法』(2004・明治書院)』

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世界大百科事典内の中国語の言及

【漢字】より

…しかしより厳密にいえば,漢字は表意文字というよりもむしろ表語文字logographであるというべきである。というのは〈日〉は直接太陽の観念を表すというよりは中国語の単語rìまたは日本語の単語hiを表すと考えるべきであるからである。もっとも〈日〉の例だと,この文字の古形は太陽を象徴していたから〈表意〉といえるであろうが,たとえば〈鯉(こい)〉のような文字になると,この文字自身からはただ〈魚〉に関係があることがいえるだけで,表意はこの場合すこぶる不完全である。…

【字音】より

…個々の漢字の示す音(オン)。中国語以外の言語では,中国語の字音をその漢字と共に借用して自らの言語に順応させた音をいい,特に〈漢字音〉とも称する。中国語からの借用に当たっては,字音は個々の言語の音韻体系,音節構造に適合するように変形される。…

【中華人民共和国】より

…正式名称=中華人民共和国People’s Republic of China面積=960万km2人口(1996)=12億2390万人(台湾・香港・澳門を除く)首都=北京Beijing(日本との時差=-1時間)主要言語=中国語(漢語)通貨=元Yuan
【概況】

[建国]
 1949年10月1日,北京(当時は北平と呼ばれた)の天安門楼上で,中国共産党主席毛沢東は,中華人民共和国の成立を高らかに宣言した。これによって,台湾および金門,馬祖など若干の島嶼(とうしよ)をのぞき,中国大陸に真の統一国家が実現し,この日はこれ以後,建国記念日,すなわち国慶節として国家の記念日に指定された。…

※「中国語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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