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財政学 ざいせいがく public finance

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

財政学
ざいせいがく
public finance

国,地方公共団体の経済活動である財政を対象とする応用経済学の一分野で,一般に予算論,経費論,租税論および公債論などで構成される。近代的な財政学は 17~18世紀のドイツ官房学派イギリスフランス重商主義経済学者に始り,18世紀には A.スミスにより安価な政府の理論的根拠を与えた自由主義的財政学が確立され,19世紀には A.ワーグナーにより国民経済に対する財政の積極的介入を主張する社会政策的財政学が確立された。

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デジタル大辞泉の解説

ざいせい‐がく【財政学】

財政の理論および政策を研究する学問。

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世界大百科事典 第2版の解説

ざいせいがく【財政学 public finance】

古くから財政学は国庫に関する学問とされている。英語のpublic finance,フランス語のfinances publiquesはともに直訳すれば〈公共資金調達〉の学問である。日本でも,明治以来,財政学とは国家・公共団体の貨幣収支を研究対象とする社会科学の一分野とみなされている。日本の財政学の発展をみると,ドイツ財政学,イギリス・アメリカ財政学,マルクス財政学の影響が認められる。
【ドイツ財政学】
 16世紀から18世紀にいたる重商主義の特殊的・ドイツ的形態といわれる官房学の伝統を引き継いで,19世紀末から20世紀初頭にかけて,A.H.G.ワーグナーL.vonシュタイン,シェフレAlbert Eberhard Friedrich Schäffle(1831‐1904),ディーツェルCarl August Dietzel(1829‐84)といった学者の登場とともにドイツ財政学は黄金時代を迎えた。

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大辞林 第三版の解説

ざいせいがく【財政学】

国家および地方公共団体の財政現象を解明する学問。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

財政学
ざいせいがく
science of public finance

国や地方公共団体の経済活動を研究対象とする社会科学の一部門である。国や地方公共団体は民間経済の外側にあって、強制力をもって政策を施行し、民間経済はその政策に対して自分に有利なように調整するという関係がある。財政学は財政のこの性格を反映して二つの側面をもっている。一つは、外側の政策主体の政策に対応して民間経済がどのような反応を示すかを研究対象とする。たとえば、国家が新たに消費税を賦課した場合に、課税対象の商品の生産量や消費量はどれほど変化し、その結果この商品の価格はどれほど上昇するかというような研究である。こうした研究は応用経済学としての財政研究ということができる。もう一つは、民間経済の外側にある政策主体の政策決定プロセスの研究である。財政政策を実行する主体は公権力である。しかし、とりわけ民主主義の制度のもとでは、公権力は国民の政治家選出の選挙、国会における意思決定のための投票等の政治過程を通じて形成される。そこで国民およびその代表者が政治決定の過程でどのような決定ルール(たとえば単純多数決)を用いるのか、その決定ルールのもとではどのような予算が採択されそうであるか、を研究する必要がある。こうした政治的意思決定過程も財政学は取り上げなければならない。[宇田川璋仁]

財政学の形成

18世紀、経済学の創生期のA・スミスやD・リカードらのいわゆる古典派経済学者たちは、彼らの著作の最後の編として国家あるいは元首の役割を取り上げた。しかし、その論じ方も、客観的に国家や元首の政策が国民経済にいかなる影響を与えるかということではなく、彼らの主張である自由主義の立場から、最小限不可欠な財政支出はどのようなものか、またこれをまかなうために国民経済の蓄積力をもっとも傷つけない税制はどのようなものかを主張する政策論であった。
 このような実証理論と政策論の未分化は、近代経済学の祖であるA・マーシャルによって整理され、経済理論の道具で財政収支が国民経済にいかなる影響を与えるかが厳密に論じられるようになった。この時代における経済理論の需要・供給の分析の進歩は、租税と政府からの補助金の影響とりわけ転嫁および効果の分析のためのかっこうの武器となったので、財政の経済分析といえば租税転嫁などの経済的効果論をさすほどにまで流行した。[宇田川璋仁]

ケインズ革命の影響

1930年代に入ると世界恐慌が発生し、それに伴って経済学の分析手法にも新しい動きが生じた。1936年にはケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』が出版され、ケインズ革命が経済学を席巻(せっけん)した。ケインズ革命は財政学にもきわめて大きな影響を与えた。ケインズ経済学のねらいは、なぜ資本主義のもとでは失業が均衡状態においても残存するのかを検討し、失業の状態から民間経済は自力で脱出できる道はなく、財政・金融政策、とりわけ財政政策に頼るよりほかに方法がないということを、単純で明快なマクロ・モデルのうえで強調するものであった。
 ケインズ革命はすべての経済学者のみならず、資本主義国の多くの政治家の政策思想も変えた。財政政策をこのように強調するケインズ経済学は、財政学にとっては最大の福音(ふくいん)であった。1930年代の不況克服、そして第二次世界大戦後の財政運営に対して、ケインズの考えは処方箋(しょほうせん)を提供するものであったとともに、経済学者や財政学者はケインズのマクロ・モデルのうえに新たな追加を行った。財政収支が国民所得水準や雇用水準にいかなる効果をもつかということの分析が、マーシャルの時代の租税転嫁論と同様に、戦後の応用経済学としての財政学の中心課題となった。[宇田川璋仁]

現代の財政学

1950年代に入ると、応用経済学としての財政学は、復興してきた伝統的なミクロ経済学の手法で分析されてきた租税の経済分析、マクロのケインズ経済学に基礎を置く経済安定のための財政政策論(ケインズは、この目的のための財政政策を特別にフィスカル・ポリシーとよんだ)、そしてどのような財政政策が消費者にとって望ましいかという近代経済学の政策論のそれぞれにおいて独立に展開し、総合への思考を欠いていたので、改めて応用経済学としての財政学を体系化する必要が生じた。この任務を果たしたのがR・A・マスグレイブ(マスグレーブ)の『財政理論』(1959)であった。
 マスグレイブの体系化の仕方は、本質的には規範的ないし政策論的であった。彼は現代国家の財政任務は三つあると先験的に想定した。第一の任務は、完全雇用を達成し維持することである。換言すれば、政府は安定政策を実行しなければならないということである。第二の任務は、その時々の社会が倫理的に「正義」とみる所得分配を達成するために再分配政策を実行しなければならないということである。第三の任務は、国民の選好に応じた公共財を提供しなければならないということである。マスグレイブの所説の重要なポイントの一つは、現代の政府はこの三つの財政任務について独立に最適な政策を実施しなければならないということであった。三つの側面で完全に望ましい財政政策を実行しえたとき、その財政政策の全体の姿が最適財政政策といえると主張した。マスグレイブの所説の第二のポイントは、財政学はこうしてみると、単に国庫への貨幣の出し入れを対象とするだけでは不十分だということである。財政は、民間経済と公共部門への資源の配分、民間部門の所得の適正分配、そして民間部門の完全雇用に深く関係しなければならないから、財政学の任務は国家による貨幣の移動よりも、その背後にある公私の資源配分、資源の個人間への分配という側面を直接に対象としなければならない。財政ということばのもっている貨幣的イメージは捨てられなければならない、ということであった。これが今日、財政学から、より広い範囲をもつ公共経済学への志向が生ずるに至った契機となった。マスグレイブの財政論は、以上の三つの財政政策の理想の姿を描くために、今日まで開発されてきたミクロとマクロの経済理論を駆使している。その意味で、応用経済学としての財政学の集大成としてこれを位置づけることができる。
 マスグレイブの体系以後は、政府を最適財政の遂行者と観念的にみるよりも、民主主義の下では政府は国民の政治選択で形成されるものであり、当然財政政策は国民の選好を反映するという事実を強調する考えが支配的になった。したがって、財政は政治過程の一分野であり、財政の分野である政治決定がなぜ行われたのか研究する、いわば政治経済学を展開しようという動きが活発である。新しい流れは狭義の財政学もそのなかに組み込もうとしている。財政の基にあるデモクラシー政治の特色を強調する現在のアプローチには三つの流派がある。第一の流派は、デモクラシーの特色は政府の国民投票による選択にあるとする。投票の特質を解明したD・ブラックDuncan Black(1908―91)の「中央値投票者定理」を正面に据え、財政政策の選択においても、投票者選好の分布のなかで、中央値に位置する個人(グループ)によって最良と評価された政策が採用されるという命題から、財政のすべての作用を解明しようとする。J・ブキャナンおよびG・タロックGordon Tullock(1922― )が開発・発展させた公共選択の理論を唱える公共選択学派がこれである。第二の流派は、現代デモクラシー政治の著しい特徴は行政官僚の優位であるから、官僚行動を経済分析によって解明しようとする政治学の立場である。W・ニスカネンWilliam Niskanen(1933― )のモデルがよく知られている。第三の流派は、デモクラシー政治の特色は圧力団体間の競争であるとみて、この競争過程から効率的な政治決定が得られることを分析する。この研究は、G・ベッカー率いるグループによってシカゴ大学で精力的に行われており、シカゴ学派とよばれている。これら三派のなかでは、政治過程を広く研究の対象としていることから公共選択学派とシカゴ学派がアメリカだけでなく世界のなかで有力である。
 シカゴ学派による説は、おもに以下のとおりである。中立的に存在する政府に対して、圧力団体が互いに競争して圧力をかける。各圧力団体は合理的行動者であるから、圧力をかけることの諸コスト(たとえば政党への拠出金など)が、それによって得られる競争勝利の利得(たとえば税制上の優遇)と限界値において等しくなるところまで圧力をかける。この競争で勝利を得たということは、勝利者が望んだ利得がより大きく、そのグループの結束が強かったことを示している。合理的な経済理論からみれば、競争のなかでコストをかけても、それを償うほど利得が大きいということは、その希望が実現されることが効率的であるから、まさしく実現した政策が「効率的」であるということになる。シカゴ学派においては、圧力団体間の競争が、政策の経済合理性をもたらすことを強調する点が、興味深いところである。
 公共選択学派は、デモクラシーの政治過程の分析を憲法制定の段階から出発させる。憲法制定の意義は、政治決定ルールをあらかじめ決定することにある。したがって憲法制定会議のメンバーに選ばれた人々は、最適政治決定ルールを探求し、それを憲法条文に明記する。各国の実情をみると、政治決定ルールは多数決原理である。したがって公共選択学派にとって、個々の少数派の間から結託が生じ、多数派が形成される要因の分析が課題になる。少数派の間から結託が生じ多数派になることを、伝統的政治学者は政治にとって好ましくないと考えることが多い。公共選択学派はシカゴ学派と同じく、個人選好の経済理論の立場より、より深い、あるいは強い選好が充足されることが効率化へのプロセスであるとみなす。
 しかし、結託形成への動きが自由な競争のなかで行われず、競争排除が伝統、特権など外的規制によってできあがる場合には、結託グループの独占的利益は「レント」とみなされる。G・タロックは、現実の社会においては、政治の世界でも、学者のサークルでも、芸術家の世界でも、排他的レント追求グループが形成されることをみて、レント・シーキングrent seekinng(非生産的・独占的利益追求)の概念をつくりだした。
 公共選択学派とシカゴ学派が今後どう対立していくのか、どこに合意点がみいだされるか、さらに二者以外の新しい政治経済学が登場してくるのか、財政学、公共経済学のわくを越えた政治経済学が現代の民主主義財政研究の大きな潮流になっている。[宇田川璋仁]
『R・A・マスグレイブ著、大阪大学財政研究会訳『財政理論』全3冊(1961~62・有斐閣) ▽島恭彦著『財政学概論』(1963・岩波書店) ▽J・M・ブキャナン、R・E・ワグナー著、深沢実・菊池威訳『赤字財政の政治経済学』(1979・文真堂) ▽野口悠紀雄著『公共経済学』(1982・日本評論社) ▽井堀利宏著『公共経済の理論』(1996・有斐閣) ▽土居丈朗著『入門公共経済学』(2002・日本評論社) ▽加藤寛編『入門公共選択――政治の経済学』(2005・勁草書房) ▽アリエ・L・ヒルマン著、井堀利宏監訳『入門財政・公共政策――政府の責任と限界』(2006・勁草書房) ▽林宜嗣著『地方財政』新版(2008・有斐閣) ▽奥野信宏著『公共経済学』第3版(2008・岩波書店)』

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世界大百科事典内の財政学の言及

【公共経済学】より

…新名称の誕生は,近年,基本的には私有財産制と自由競争市場を軸として国民経済を運営するいずれの国々においても,共有財産と非市場手段によって運営される公共部門が急速に拡大してきた事実と,近代経済学の発達がその分析手法を非市場経済へも応用させることを可能とした事実とを反映したものといえよう。確かに,古くから公共部門を研究の対象としてきた学問に〈財政学public finance〉がある。しかし財政学は,伝統的に公共部門全体というよりも,与えられた予算を賄うための税制の記述と分析が中心であったことから,その学問の守備範囲が一般に狭く固定化されて理解され,近年急速に発展した財政理論の近代理論経済学的手法による再編成と,税制はもとより,それ以外の公共部門も広く研究の対象とした大幅な学問分野の拡大とを代表するには適切でなかった。…

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