日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
マックス・フォン・バーデン
まっくすふぉんばーでん
Max von Baden
(1867―1929)
ドイツの政治家。本名はMaximilian Alexander Friedrich Wilhelm。バーデン大公国の王族の家系に生まれる。軍務についていたが、大公に嫡子がなかったため1907年、公位継承者に指名された。1918年10月、第一次世界大戦におけるドイツの敗北が明らかとなり、休戦・講和の必要が認められると、政治活動歴がなく、自由主義的傾向があると考えられた彼は、議会多数派に基礎を置き、社会民主党閣僚を含むドイツ第二帝政初の準議会主義政府の宰相に任ぜられた。彼の下で、アメリカ大統領ウィルソンへの講和の申し入れがなされた。国内でも十月改革とよばれる憲法改正が実行され、議会主義の導入、軍部の統制が決まった。しかしこの効果が現れないうちに、国内でドイツ革命が起こったため、11月7日、彼は独断で皇帝ウィルヘルム2世の退位を宣言、宰相職を社会民主党党首エーベルトに譲り引退した。
[木村靖二]