ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マドゥロ」の意味・わかりやすい解説
マドゥロ
Maduro, Nicolás
ベネズエラの政治家。大統領(在任 2013~ )。フルネーム Nicolás Maduro Moros。キューバで労働組合の組織運営法を学んだのち,カラカスでバス運転手として働き,運輸労働者組合に所属して序列を上げていった。1992年,当時陸軍士官だったウゴ・チャベスがクーデター未遂事件により投獄されたのをうけ,チャベスの釈放を求める運動を繰り広げた。1994年に自由の身となったチャベスが 1999年に大統領に就任すると,マドゥロはチャベスの権力を強化する新憲法の草案作成に携わる憲法制定議会の議員を務めた。同 1999年下院議員となり,2000年新議会選挙で当選,2005年議長に就任。翌 2006年,外務大臣に任命されると,地域内におけるアメリカ合衆国の影響力を弱めるため,中南米諸国の社会・政治・経済統合を拡大する米州ボリバル代替統合構想 ALBAを推進した。2012年副大統領に就任,同 2012年12月,健康状態が悪化していたチャベスの後継者に指名された。2013年3月,チャベスが死去すると,マドゥロは大統領代行の職につき,約 1ヵ月後の大統領選挙で僅差で勝利を収めた。マドゥロ政権下のベネズエラ経済は,石油価格の下落や経済政策の行きづまりによりハイパー=インフレーションに見舞われ,食料不足,水不足,医療体制の不備に国民が苦しんだ。2018年の大統領選挙で再選されたが,独裁政権下の選挙の正当性に疑義がもたれ,反体制派のフアン・グアイド国会議長が暫定大統領として就任を宣誓し,アメリカや主要国はこれを承認した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報