日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルサーラ酒」の意味・わかりやすい解説
マルサーラ酒
まるさーらしゅ
Marsala
イタリアのシチリア島でつくられるデザートワイン。18世紀後半、この地に移住してきたイギリス人ウッドハウスらの手により、ポートワインの代用品としてつくられたのが始まりといわれる。この酒の製造には、当地でとれるカタラット種とインゾリア種のブドウが使われる。ブドウは一般に糖分が高く、酸が少ないから、果汁に焼石膏(しょうせっこう)を加えて酸味を増し、雑菌の繁殖を抑える方法がとられる。酵母による発酵が終わると、上澄みをとり、これにブランデーを加えてアルコール分17~18%にする。なお開放釜(がま)で濃縮した果汁を添加し、甘味をつけることもある。色は琥珀(こはく)色、辛口もあるが、甘口のほうが多い。よいマルサーラ酒は2~5年、樽(たる)で貯蔵する。アルコール分15~16%、糖分5~6%のものが多い。
[原 昌道]