ポートワイン(読み)ぽーとわいん(英語表記)port

翻訳|port

デジタル大辞泉 「ポートワイン」の意味・読み・例文・類語

ポート‐ワイン(port wine)

暗紫色を帯びた甘口のぶどう酒。本来は、発酵途中でブランデーを加え独特の甘みを残したポルトガル産のぶどう酒をいい、ポルト英語読みでポート)港から輸出された。ポルト酒

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精選版 日本国語大辞典 「ポートワイン」の意味・読み・例文・類語

ポート‐ワイン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] port wine )[ 異表記 ] ポルトワイン 発酵途中のワインにブランデーなどを加えてアルコール度を高めた甘口のぶどう酒。元来はポルトガルのオポルト(ポルト)港から積み出されたものをいい、多く赤色日本では、砂糖などで甘みをつけた赤ぶどう酒をもいう。
    1. [初出の実例]「其外『ポルトワイン』等を用ゆるなれど」(出典:西洋衣食住(1867)〈福沢諭吉〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポートワイン」の意味・わかりやすい解説

ポートワイン
ぽーとわいん
port

ポルトガル北部のドーロ川流域でつくられる甘味の強いワイン(甘味果実酒)。ポートの名称は、ポルトporto港で貯蔵、船積みされることからきている。なおポートの製法は、17世紀の後半、イギリスに向けて輸出されたワインが、航海中に酒質を損なわないためにワインに少量のブランデーを加えていたことがヒントで、発酵中にブランデーを加える独自な方法が生み出されたと伝えられる。

 ポート製造に使われるブドウは、赤のティンタ・フランシスカ、白のマルバジアなどで、強烈な太陽と乾燥した気候の下で育ったブドウを完熟するまで木において、糖分を30%ぐらいにする。これをつぶして果皮とともに発酵させ、糖分が半分ぐらいに減ったところでブランデーを添加して発酵を止め、絞って上澄み液を集める。この液は発酵中果皮から色素が溶出して色はルビー色、アルコール分は19~20%、糖分は10~15%である。

 ポートの種類には、美しいルビー色で、4~5年熟成させた普及品のルビーポート、ルビーポートをさらに黄茶色まで熟成させたタウニーポート、同じ年に収穫したものだけを貯蔵熟成させたなかで、品質のよいものを選んだビンテージポート、わりあいよくできた年のものを早く瓶詰めして熟成させたオールド・クラステッド・ポート、ビンテージポートをさらに10~15年間熟成させた高級もののレイト・ボトルド・ビンテージポートがある。いずれも甘口で、デザートワインとして飲まれる。

[原 昌道]

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改訂新版 世界大百科事典 「ポートワイン」の意味・わかりやすい解説

ポートワイン
port-wine

ポルトガル産の強化ブドウ酒。たんにポートとも呼ぶが,この名はポルトガルの港市ポルト(英語でポート)から主としてイギリスに積み出されてきたことによる。現在では原産地呼称法により,ドーロ川上流のアウト・ドーロ地域で,同法の定める規格と制限に基づいてつくられたものに限り,ポートを呼称することが認められている。原料ブドウにはいくつもの品種を用いて混醸し,発酵中のもろみにブランデーを添加して発酵を停止させ,糖分を残したまま熟成させる。タイプにはビンテージ,クラストcrusted,トーニーtawny,ルビー,ホワイトなどがある。ホワイトを除いては赤ブドウ酒で,熟成の度合によって,紅色,淡紅色,茶褐色となり,ホワイトは黄色ないし淡褐色になる。ビンテージは作柄のよい単一収穫年のものだけでつくる高級品であり,年度のちがうものをブレンドして熟成させるクラストや,樽でじっくり茶褐色になるまで熟成させるトーニーもビンテージに次ぐ品質をもつ。ブドウ酒の中でも長もちのするものの一つで,100年くらいのものもある。いずれもアルコール分は20%内外,おもにデザートワインとして用いられる。なお日本では明治以降,ブドウ酒にアルコール,酸,砂糖,色素などを加えた独特の甘味ブドウ酒がつくられ,これをポートワインと呼んでいた。
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飲み物がわかる辞典 「ポートワイン」の解説

ポートワイン【port wine】


ポルトガル産の甘口の酒精強化ワイン。ぶどうを発酵させ、アルコール発酵が完全に終わる前に、まだ糖分を残した状態でブランデーを添加して発酵を止めたあと、熟成を行う。特に、食後酒などに用いる赤が知られる。アルコール度数は18~20度。「Port/Porto」はポルトガルの原産地呼称DOPの一つ。◇ドーロ川河口の都市ポルト(英語で「ポート」)から輸出されたことから。「ポート酒」ともいう。日本では1907(明治40)年、鳥井商店(現サントリー)が「赤玉ポートワイン」を製造発売後、これと同様の甘みの強い濃紅色の甘味果実酒をポートワインというようになったが、ポルトガルの原産地呼称を保護する観点から、現在はこの名称は用いない。

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百科事典マイペディア 「ポートワイン」の意味・わかりやすい解説

ポートワイン

ポルトガル特産の甘いブドウ酒。ポルト(英名ポート)港から輸出されるのでこの名がある。ブドウ汁の発酵途中にブランデーを添加して発酵を止め,甘味を残して長期間熟成したもの。赤ブドウ酒が普通。食後酒として賞味される。
→関連項目ブドウ(葡萄)酒

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポートワイン」の意味・わかりやすい解説

ポートワイン
port

ポルトガル北部ドーロ川上流域で産するデザート用ワイン。ドーロ川河口にあるポルトから積出されるのでこの名がある。当年の生ワインに半熟成のワインとワインの蒸留液を加えて樽詰にし,8年ほど貯蔵されるが,蒸留液の混入によって発酵作用が停止するので,ぶどうの甘味が残される。また,その混合の割合によって,幾種類かの製品が造られる。他の場所で造られたものでも類似のワインはポートワインと称されるが,日本では,アルコールに酸や砂糖,色素などを加えた模造ワインにもこの呼称がある。

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とっさの日本語便利帳 「ポートワイン」の解説

ポートワイン

ポルト(Porto)▼リスボンの北東二七四kmにある河港都市。英語名をオポートと称し、一七世紀以来「ポートワイン」の輸出港として知られている。レコンキスタ(国土回復運動)の後、一一四三年に正式に王位を得たアルフォンソ一世が、ポルトガル王国を建設した時の首都であり、国名の語源となった。ポートワインは、ポルトガル原産の、主として甘口の赤ワインで、北部のドウロ地方産のブドウを原料とする。

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世界大百科事典(旧版)内のポートワインの言及

【ポルト】より

…一方,ドウロ川以北,リマ川以南の地域全体の呼称となったポルトゥス・カレからのちの王国名ポルトガルが生まれた。商業都市ポルトの繁栄は,ドウロ川流域で産するブドウを原料とする独特の甘味酒(ポートワイン)の生産,輸出と密接な関係をもつ。ポルトのブドウ酒,すなわちポートワインのイギリスへの輸出は17世紀末より盛んになるが,1703年のメシュエン条約によりイギリスがポルトガル産ブドウ酒の輸入に関して特恵待遇を約して以来,飛躍的に増加した。…

※「ポートワイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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