日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルヌ運河」の意味・わかりやすい解説
マルヌ運河
まるぬうんが
Canal de la Marne
フランス中東部、セーヌ川の支流マルヌ川とライン川を結ぶ内陸艀(はしけ)運河。マルヌ川の可航限界であるオート・ビリエよりマルヌ川と並行してビトリ・ル・フランソアに至るマルヌ川並行運河(長さ67キロメートル)と、ビトリ・ル・フランソアよりナンシーを経てライン河畔のストラスブールに至るマルヌ・ライン運河(長さ313キロメートル)よりなる。前者には閘門(こうもん)15か所、後者には閘門154か所があり、分水嶺(ぶんすいれい)2か所(標高270メートル以上)を4個のトンネルで越える。このうち、長さ1000メートル以上のトンネルとしては、ムバージュ・トンネル(長さ4877メートル)とダルズビレ・トンネル(長さ2307メートル)がある。深さ2.2メートル。1838年に起工され、1853年に開通した。フランスの幹線系内陸水路の一つで、パリ盆地とフランス東部を結び、セーヌ川水系とライン川、モーゼル川水系をつないでいる。ビトリ・ル・フランソアよりマルヌ・ソーヌ運河(長さ224キロメートル、閘門114か所、深さ2.2メートル。1907年全通)が分岐して、ローヌ川の支流ソーヌ川に通じ、地中海への水路が開けている。
[青木栄一・青木 亮]