六訂版 家庭医学大全科 「マンソン孤虫症」の解説
マンソン孤虫症
マンソンこちゅうしょう
Sparganosis mansoni
(感染症)
どんな感染症か
幼虫の大きさは、数㎝~数十㎝です。当初は成虫がわからなかったために「孤虫」と呼ばれていましたが、のちにネコやイヌの腸に寄生するマンソン裂頭条虫の幼虫であることがわかりました。
症状の現れ方
マンソン孤虫は全身のあらゆる場所に寄生しますが、最も多いのが皮下、とくに脂肪の多い場所です。皮下に寄生した場合は、しこりやこぶが感じられますが、急になくなったり、別の場所に現れたりします。これは、マンソン孤虫が体のなかで移動するためです。
寄生する場所によって自覚症状がないことがありますが、脳に寄生した場合には、前述した嚢虫症と同じような症状が起こり、命に関わることがあります。
検査と診断
診断は一般的に困難ですが、皮下にこぶが急にできたり、それがなくなったりしたら、この病気を疑います。皮下にできたこぶを手術で切開、または摘出した際に、10~20㎝の長さのマンソン孤虫が見つかるのが普通です。
脳や内臓に寄生している場合、画像検査と併せて血清検査でマンソン孤虫に対する抗体を検出します。
治療の方法
手術でマンソン孤虫を取り除くのが、最もよい方法です。
脳や内臓に寄生している場合は、抗寄生虫薬のプラジカンテル(ビルトリシド)を使用します。
病気に気づいたらどうする
皮下に急にこぶができた場合は、皮膚科で診察を受けましょう。最も大切なのは、マンソン裂頭条虫の幼虫が寄生する生き物を、生のまま食べないことです。とくにヘビには多数の幼虫が感染しているので気をつけましょう。
奈良 武司
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報