日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケンミジンコ」の意味・わかりやすい解説
ケンミジンコ
けんみじんこ / 剣微塵子
節足動物門甲殻綱キクロプス目Cyclopoidaの海産小動物の総称。湖沼と地下水および海洋のプランクトンで、魚類の鰓糸(さいし)や鰓蓋(さいがい)の内側につく種も少数ある。日本産の種は約50種。一般に体長1~3ミリメートルで、雄のほうが小さい。体は前体部と後体部からなり、前体部は楕円(だえん)形。頭部では第1触角がとくに長くて運動器官として働き、種類によっては交尾の際に把握器官となる。胸部には第1~第5遊泳脚があるが、第5脚は遊泳用ではなく、雄では著しく発達して交尾の際に役だつことがあり、また雌では発達程度がさまざまで、まったくないこともある。後体部の末節に続いて叉肢(さし)が分枝し、先端に数本の長毛がある。淡水産はキクロプス属Cyclopsを中心に多くの属に分化し、海産はオイトナ属Oithonaやサッピリナ属Sapphirinaなどが代表的で、魚類の天然餌料(じりょう)として重要である。なお淡水産の種は広節裂頭条虫の第一中間宿主となる。
[武田正倫]