マーシャル・ロー(英語表記)martial law

翻訳|martial law

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マーシャル・ロー」の意味・わかりやすい解説

マーシャル・ロー
martial law

英米法上の国家緊急権に関する法。侵略あるいは内乱などの国家非常事態において,秩序公安を維持または回復するために,軍隊人身保護令状の停止,軍事法廷の設置など,必要な措置をとることを認める非常法である。大陸法における合囲状態や戒厳に相当するが,英米憲法上は明文規定を欠き,さらにその概念は必ずしも明瞭でない。一般には,これは「必要の法」であるとされ,一定の条件のもとでのマーシャル・ローの発動は,コモン・ロー上の当然の国家的権利であると考えられている。 (→国家非常事態 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のマーシャル・ローの言及

【戒厳令】より

…ドイツでは1851年プロイセンの〈合囲状態に関する法律Gesetz über den Belagerungszustand vom 4.Juni 1851〉が,憲法の条文をうける形で例外状態における憲法の一定の条項を停止することを定め,1871年ドイツ憲法によっても援用された。一方,イギリス,アメリカには憲法内に制度化された非常法は存在せず,コモン・ローに対して不文法たる〈マーシャル・ロー〉が,事実としての戒厳そのものを意味する。したがって非常法必要の存否およびその判断の適否については,議会,裁判所が相互にチェックするのである。…

※「マーシャル・ロー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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