改訂新版 世界大百科事典 「マールキシ」の意味・わかりやすい解説
マールキシ
Perets Davidovich Markish
生没年:1895-1952
ソ連邦のユダヤ系詩人,作家,劇作家。8歳から働き始め,独学ののちシャニャフスキー人民大学で学んだ。1917年から文筆活動を始め,イディッシュ語で数冊の詩集を刊行した。とくに《堆積》(1922)はユダヤ人迫害にささげられた感動的な詩集として有名。21年に外国へ出かけ,ワルシャワ,ベルリン,パリ,ロンドンを旅行し,詩集《ラジオ》(1922)を発表,資本主義世界を批判して,ソビエト体制を賞賛した。帰国後,叙事詩《兄弟》(1929)でロシア革命後の国内戦を描き,《ドニエプルの朝焼け》(1937)では社会主義建設と人間の改造を歌った。このほか,長編小説《世紀から世紀へ》2巻(1929-41),《1対1》(1934)など散文も書き,民衆のなかの人間を過去と現在から対比して描いた。また戯曲《大地》(1930),《オバディスの家族》(1937),《ゲットーの蜂起》(1946)の作者としても知られている。第2次大戦後のコスモポリタニズム批判の嵐のなかで逮捕され,収容所で死亡し,〈雪どけ〉後に名誉回復された。
執筆者:木村 浩
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報