改訂新版 世界大百科事典 「ミズカンナ」の意味・わかりやすい解説
ミズカンナ
mealy thalia
Thalia dealbata Fraser
水湿地を好むクズウコン科の多年草で,観賞用に栽植される。高さ1.5mほどになり,全体に白粉をかぶる。根生する葉は長さ30~50cmの葉柄と,カンナに似た長卵形で長さ50cmほどの革質の葉身を有する。夏季に直立あるいは斜上する花茎を出し,円錐状の花序に径2cmほどの紫色の花をつける。果実は球形の蒴果(さくか)で,種子は褐色で球形。北アメリカ南東部原産で,耐寒性があり,屋外であれば深水を,無加温温室であれば浅い水中で越冬する。よく似たものにタリア・ゲニクラタT.geniculata L.がある。全体に白粉を帯びず,花序はジグザグ状になってやや下垂する。北アメリカ南部から南アメリカに分布し,前種と同様に水辺の観賞用植物として栽植されるが,耐寒性は前種より弱い。どちらも種子や株分けで繁殖する。大型になるので池辺や大鉢で栽培する。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報