改訂新版 世界大百科事典 「ミズヒナゲシ」の意味・わかりやすい解説
ミズヒナゲシ
water poppy
Hydrocleys nymphoides Buchen.
南アメリカ原産のハナイ科の水生多年草。ウォーター・ポピーともいう。日本へは昭和の初めに渡来し,今では広く普及している。丸いハート形の葉を出し,葉につやがある。根茎は細長く横走して白く,夏から秋へかけて水面上に突出する花梗上に径5cmぐらいの美しい黄色3弁の花を咲かせる。花が一見ケシの花に似るところから,和名も英名もついた。花は一日花であるが,次々と花立ちする。日本のトチカガミに近縁で,キバナトチカガミともいう。多数のおしべと離生しためしべを有し,単子葉植物のなかでは,原始的な群を代表する植物である。寒さに弱いことを除けばきわめて丈夫な水生植物で,スイレンなどよりも育てやすい。栽培は,ほぼスイレン同様でよく,肥料は緩効性の固形肥料を鉢土に埋めこんでおく。冬季は水鉢ごと屋内に取り込んで凍らさないようにする。繁殖は春に根茎を株分けする。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報