日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムギイワシ」の意味・わかりやすい解説
ムギイワシ
むぎいわし / 麦鰯
roughhead silverside
[学] Atherion elymus
硬骨魚綱トウゴロウイワシ目トウゴロウイワシ科に属する海水魚。太平洋側は千葉県、日本海側は新潟県以南の各地、小笠原諸島、西部太平洋海域に分布する。体はマイワシのように細長くてわずかに側扁(そくへん)する。頭には平行して並ぶ小さい棘(とげ)がある。第1背びれが小さくて4本前後の棘からなり、胸びれが体の背方近くにある。体は大きな円鱗(えんりん)で覆われ、縦列鱗数は40枚前後。肛門は臀鰭(しりびれ)起部の直前に開く。体側に光沢のある幅広い一青色帯が縦走する。体は小形で7センチメートルぐらいにしかならない。外洋に面した岩礁性の海岸の水面近くにすむ。夏に沿岸に大群で接近し、磯近くで岸辺に産卵する。肉はまずいので食用にはされていない。
[落合 明・尼岡邦夫]