ムニンノボタン(読み)ムニンノボタン(その他表記)Melastoma tetramerum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムニンノボタン」の意味・わかりやすい解説

ムニンノボタン(無人野牡丹)
ムニンノボタン
Melastoma tetramerum

ノボタン科の常緑小低木で,小笠原諸島父島に特産する。高さ 1m前後で根もとからよく分枝し,赤褐色の樹皮をもつ。葉は短い柄があって対生し,長さ3~8cmの卵状長楕円形で両端はとがり,3本の葉脈が縦にほぼ平行して走り裏面に隆起する。葉の両面と縁に硬く短い毛が密生する。花は6~7月に咲き,白色4弁で径3~4cm,おしべ8本が紅紫色 (やく) をもち美しい。現在知られている自生の株は父島に1~2株しかない絶滅危惧種であるが,人工的な増殖によって現地還元がすすめられている。同諸島の母島には本種に近縁で花が5弁,淡紅色のハハジマノボタン M.pentapetalumがやはり固有種として知られる。なお,和名ムニンは小笠原の古名,無人島 (ぶにんじま) に基づく。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android